国家公務員のボーナスが大幅に増額
国家公務員の夏のボーナスが大幅に増額された。これまで民間との格差を是正するために支給月数の削減などが進められてきたが、今年は一気に積み増され3年ぶりの増額となった。その率何と9%増。民間もボーナスは増えているとはいえ、伸び率は4%未満にとどまっている。財政支出を拡大させる岸田文雄内閣の大盤振る舞いで公的セクターの賃上げが進むが、本当にこれが「呼び水」となって景気回復につながるのか。
6月末までに支給された期末・勤勉手当は、管理職を除く国家公務員の平均で63万7300円と3年ぶりに増加した。昨年夏のボーナスと比較すると、9.0%、5万2500円のアップだった。
一方、日本経済新聞が7月18日にまとめた夏のボーナス調査最終集計(6月30日時点)によると、全産業の平均支給額は2.60%増の89万4285円だった。2年連続で過去最高を更新した。
また、経団連がまとめた「2023年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)」では、大手企業の夏のボーナス支給額の平均は95万6027円で、昨年度よりも3.91%増え、過去3番目に高い水準となった。
国の財政赤字は一向に収まる気配がない
単純に金額を比較すると公務員が少ないように見えるが、公務員の場合、管理職を対象から除外しており、単純な金額比較はできない。増加額で見ると、大企業でも3.91%、中堅企業も含めると2.60%で、公務員にははるかに及ばない。
岸田内閣は「物価上昇率を上回る構造的賃上げ」を掲げてきた。ところが物価の上昇が本格化しており、賃上げが物価上昇に追いつかない状況が続いている。5月の消費者物価指数は生鮮食品とエネルギーを除いた総合指数で4.3%の上昇となった。大企業のボーナスですら、物価上昇で実質的には目減りしていると見ることができる。
そんな中で、公務員ボーナスは9.0%増という高い伸びを示した。国の財政に余裕があるのなら、公務員の給与増は喜ばしいことだが、財政赤字は一向に収まる気配がない。公務員の仕事は原則として「利益」を生み出さないから、ボーナスを増やしたからといって歳入が増えるわけではない。そうは言っても民間並みの給与水準を維持する必要があるということで、「民間並み」を前提にボーナスも支給されている。ちなみに地方公務員のボーナスも国家公務員に連動して支給額が決まるケースが多いため、ほとんどの自治体で3年ぶりのボーナスアップとなった。