相手に意見を言って改善するケース、危険なケース

ここまでのアドバイスが一つも奏功しなかった場合には、なんらかの意見を与えることを検討してもよいだろう。こちらをイライラさせるものが何であれ、それはその同僚の職業人としての前進を何度も阻むことになるものでもある。

「自分が人にどう思われているかをその同僚が知っていると決めつけてはならない」と、サットンは言う。あらゆる点について相手を罵倒してはならない。相手がコントロールできる行動に的を絞って、それがこちらの集中力や、ともに取り組んでいる仕事にどのような影響を及ぼしているかを説明しよう。こちらの所見を慎重に伝えれば、相手が自己認識を深め、職場でより有用な人材になる手助けをすることになるかもしれない。

だが、くれぐれも慎重に。意見を言うべきか否かは「こちらがどれほど巧みなコミュニケーターで、相手がどれほど受容力のある人間かによる」と、ゴールマンは言う。その同僚が人の意見に耳を傾けるタイプだと思われ、仕事に絞った節度ある会話ができるという自信が自分にある場合は、やんわりとフィードバックを与えよう。だが、同僚が逆上したり根に持ったりするタイプかもしれない場合は、リスクをおかしてはならない。「相手があなたの意見を個人攻撃と受け取って、問題がエスカレートする危険性がある」と、ゴールマンは言う。自分自身も人からの意見に耳を傾ける必要がある。こちらが同僚を嫌いなときは、相手もこちらを嫌っている可能性が高いのだ。

すべてがお手上げの状況なら、「感情にとらわれないという技を実践しよう」と、サットンは勧めている。「その同僚が苦痛を与える存在であっても、自分が苦痛を感じなければ、なんの問題もない」と、ゴールマンは説く。このような認知の枠組み変換は、自分にはほとんど、もしくはまったく制御できない状況では効果的な場合がある。

(ディプロマット=翻訳 Getty Images=写真)
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