話し合いを不毛な対立に発展させないために
職場における「意見の違い」というものは避けられない要素であり、画期的なイノベーションや問題解決、生産性を上げるためには欠かせないものであるともいえる。
しかし、このようなプラスの要素があるとわかっていても、やはり意見が食い違う人と仕事をするのは容易ではない。
誰しも、同僚と言い争うだけで不愉快になるものだし、議論のやり方を間違えるとただ不毛なだけでなく、場合によっては害のある対立に至ることがあるからだ。
だが、少し準備をすれば、対立を防いで誰もが同意できる解決策を見つけることができる。
意見が合わないことについて議論することそのものがほとんどの人にとっては不快な作業なので、話し合いで問題がすんなり解決されることはめったにないと思ってよい。
「ほとんどの対立は荒っぽい力業によって、もしくは双方の中間をとることによって解決される」と、バンテージ・パートナーズの創業パートナー、ジェフ・ワイスは語る。だが、このやり方ではたいてい双方が結果に不満を持つことになる。
生産的な議論をするための第一歩は、当事者の考え方を変えることから始まる。
「話し合うことで何か新しいことがわかるはずだ、自分が思い描いていた案より創造的な解決策が見つかるはずだと考えよう」と、ワイスはアドバイスする。同僚の意見を気にせず白紙の気持ちで議論を始めることで、おそらく共通の基盤を見つけられるだろう。
もちろん、うまくやるためには時間と関心を注ぐ必要がある。タック・ビジネス・スクールの経営学准教授で、『Why It Pays to Get Inside the Head of Your Opponent』の共著者としても知られるジュディス・ホワイトは、「議論に時間と思考をつぎ込んで当然だと思わなくてはいけない」と忠告する。
引き続き、状況を好ましいものに変えるのに役立つガイドラインを見ていこう。
意見が食い違う3つの理由を知る
議論の準備をするためには、自分自身の見方を知るとともに、同僚の考えをより深く理解しようとしなければならない。話し合いを持ちかける前に、「自分の根本的な意図は何かをきちんと把握する」べきだと、ホワイトは助言する。
ワイスは、意見の相違には3つのタイプがあると言う。(1)実質的な相違――具体的な内容や業務について意見が異なる場合。(2)関係による相違――意見の相違が、実は自分と同僚との関係から生まれている場合。(3)認識の相違――問題のとらえ方が異なる場合。
これらの違いを理解することは、話し合いに毅然とした姿勢で臨む助けになることがある。まず、意見の相違のタイプを認識し、相手もそれを同様にとらえていることを確認しよう。
対立がどのような性質のものであれ、自分の感情は持ち込まないように気をつけよう。「論争が最もうまく解決されるのは、感情ではなく客観性を基盤にするときだ」と、ワイスは言う。
準備には持論の論理性をしっかり吟味することも含まれる。
結論までしっかり検討するだけの時間がとれるよう話し合いの日時を設定し、話し合いは2人だけで直接会って行うようにしよう。意見の相違をEメールで解決しようとしてはならない。メールでは語調やニュアンスが十分伝わらないからだ。