ミスの経験は仕事という実験に不可欠な要素

組織の中で働いたことのある人なら誰でも、1つや2つくらいはミスをしたことがあるはずだ。失敗は避けられないということはほとんどの人が認めているが、その責任をとるのが好きな人はいないだろう。

しかし、失敗がきわめて大きなものであっても、それが必ずしもキャリアに永続的にキズを残すわけではない。実際、ほとんどのミスが組織や個人の学習に役立つものだ。ミスは仕事という「実験」の欠かせない一部であり、イノベーションの必須条件なのだ。だから思い悩む必要はない。見事に立ち直って、その経験を学習し、成長に生かせばよいのである。

ペンシルベニア大学ウォートン・スクール、マック・センター・フォー・テクノロジカル・イノベーションのリサーチ・ディレクターで、近日刊行予定の『Brilliant Mistakes』の共著者、ポール・シューメーカーによれば、ほとんどの人は自分の失敗に過剰反応する傾向があるという。「プラスとマイナスを均等に評価しないので、マイナスがプラスよりはるかに大きく見える」と、シューメーカーは説明する。

そのため、誰しも自分のミスを隠したいという誘惑に駆られるおそれがある。最悪の場合、不毛であることがわかっていながら、自分のミスを認めたくないために方向転換せず、間違った道をそのまま行ってしまう場合もある。これはきわめて危険であるうえ、その代償は高くつく結果を招きかねないだろう。

下手にごまかすより、ミスを認め、そこから学んで次に進むほうがはるかに望ましい。「前を見つめ、過去ではなく未来を考えて決定を下そう」と、シューメーカーはアドバイスする。

デューク大学企業家リーダーシップ・イニシアティブのディレクターで、『Life Entreprene urs : Ordinary People Creatin g Extraordinary Lives』の共著者、クリストファー・ジェルゲンも同じ考えで、ミスをしたときにとれる最も有益な策は「ミスをリーダーシップの貴重な機会に変えることだ」と言う。

失敗を未来へつながる宝に変えるのに役立つ方法をいくつか紹介しよう。