組織の責任でも自分の役割を認める
最も重要なのは、ミスを隠さず率直に認めることだ。他人に責任をなすりつけようとしてはいけない。グループのミスであっても、その中で自分が担った役割を認めよう。ミスのために誰かが損害を受けた場合には、きちんと謝罪しよう。
だが、謝りすぎてはいけないし、自己防衛に走ってもいけない。ミスをした後どう行動するかを重視し、未来に目を向けることだ。どのようにしてミスを是正するつもりか、今後は何をどのように変えるつもりかを説明する必要がある。
ミスを認めたらすぐに、それを「別の枠組み」でとらえるのが適切かもしれない。「別の枠組み」でとらえるとは弁解することではなく、周りがそのミスを別の角度から見られるようにする誠実な試みだ。何が失敗の外的な要因で、何が内的な要因だったのか、また、自分にコントロールできることと、コントロールできないことは何だったのかを理解することが大切だとジェルゲンは指摘する。自己防衛に走らず、何がミスにつながったのかを説明することは、なぜミスが起き、それを防ぐために今後どうすればよいかを、みんながより理解する助けになる。
ミスはリーダーシップ力を高めるのに、きわめて重要な役割を果たす。「最も望ましい類のミスは、損害が少なく、それでいて学習効果が大きいというものだ」と、シューメーカーは言う。ミスがお粗末な決定のせいだった場合には、今後はどのようにして同じ過ちや似通った過ちを防ぐつもりかを上司や関係者に説明しよう。他人があなたの能力や技能について評価を下す前に、迅速に対応する必要がある。「ミスを乗り越え、それに打ち勝ち、それに対処する必要がある」とジェルゲンは言う。
ミスをした結果、自分が成長したり変化したことを示すことで、上司や同僚や部下に、この人には今後もこれまで同様、重要な仕事を任せられるという安心感を与えることができる。
「ミスを取り戻すには、そこから学んだことを示す必要がある」と、シューメーカーは言う。これはミスが厳しい目で見られがちな業績重視の企業よりも、そこから学習する企業の中にいるほうがはるかにやりやすい。だが、職場環境に関係なく、「ミスをマイナスからプラスに変える方法」を考え出すことは必要だとジェルゲンは言う。