社内外の人の力を積極的に借りよう
自分を取り巻く人間関係は、ミスをプラスに変える大きな助けになることがある。現在の同僚や元同僚、もしくは組織の外の人たちに、自分が犯したミスについての意見や、どうすれば失敗の埋め合わせができると思うかを聞いてみよう。おそらく、彼らはそのミスのとらえ方や信用を取り戻す方法について有益なアドバイスをくれるだろう。
一例を挙げよう。科学・環境健全性ネットワーク(SEHN)のアソシエート・ディレクター、ケイティ・シルバーマンは、NPOの助成金の申請を管理していた。去年、ケイティは助成金関係の日付カレンダーをつくり、そこに現在の助成金に関する報告書の提出期限と今後の再申請の期限を記した。
今年の1月末、ケイティはSEHNの主な資金提供機関のひとつである某財団に、2010年の再申請についてのメールを送った。しかし、再申請の期限は過ぎたという返事が返ってきた。ケイティのカレンダーには3月という期限が記されていたが、それは09年分の報告書の提出期限で、彼女は再申請についてもそのとき話し合われるものと思い込んでいたのである。
「この状況で資金提供機関を失うのは破滅的なことだ」と、ケイティは思った。毎年1月に誰かが財団の担当者に電話して、その年のスケジュールについて話し合うのが慣例になっていたことが判明する。ケイティはこれを知らなかったのだが、個々の資金提供者との関係を熟知し、機会を逃さないようにすることは彼女の責任だった。ケイティはただちに上司に電話を入れ、このミスを説明して、新しい資金供給源の確保についての案を出した。彼女の率直な姿勢のおかげで、上司も他のスタッフもきわめて協力的だった。
財団の担当者がケイティに、5月に別の助成金の申請期限がくることを教えてくれ、彼女は新案を提出することにした。彼女の期限カレンダーには、今では資金提供者が発表した確たる期日に加えて、「暗黙の」期限や会議も記されている。彼女はミスから学んだのだ。
立ち直りやすいミス、時間がかかるミス
ミスをした後は、誰しも自信を喪失することがある。しかし、そのために萎縮しすぎないようにしよう。ミスのせいで自分の専門技能が周りに疑問視されるようになった場合には、さらに実績を重ねることで彼らの信頼を取り戻そう。ミスは弱さや愚かさのしるしではなく、そこから立ち直ることは回復力と粘り強さの証なのだ。多くの企業が失敗を経験した後に成功した人を望んでいると、ジェルゲンもシューメーカーも力説する。
組織によるミスは責任が分散されるので比較的立ち直りやすいとシューメーカーは言う。対して、誰かの信頼を裏切る元凶となったような失敗は長く影響をもたらすことがあり、悔悟の念も深くなる。誰かの信頼を失った場合には、その人に会って心から謝罪しよう。そして、信頼を取り戻すにはどうすればよいか尋ねよう。だが、この場合は往々にして辛抱強く待たなくてはいけない。人を許すには長い時間がかかることがあるからだ。