世の中には素晴らしい直感を持つ人がいる。ビジネスで難しい決断を下さなくてはいけないとき、統計やデータと人の直感、どちらに頼るべきなのか。
消防士や看護師の直感は驚くほど正確なことがある
人間の直感は仰天するほど正確なことがある。長年経験を積んだ人の場合はとくにそうだ。熟達したポーカー・プレーヤーは透視能力があるかのように相手のカードを見抜く。ベテラン消防士は、炎が建物の中をどのように広がっていくかを予想できる。また、新生児集中治療室の熟練看護師は、血液検査の結果が出る前に赤ちゃんが危険な感染症にかかっているかどうか見分けることができる。
この現象を説明するのは難しい。ポーカー・プレーヤーはピンとくるのであり、消防士は炎がどこに向かおうとしているのかを感じ、看護師は感染症のように思われるものを見分ける。彼らの直感は簡単には検証できないところから生まれるのだ。
このような実例は、直感は一般に信頼できるものであり、瞬間的に頭にひらめくことにもっと頼るべきだという印象をわれわれに与える。
だが、それはひどい心得違いだ。われわれは直感に頼るのを減らすべきであって増やすべきではないのである。
ダニエル・カーネマンとゲイリー・クラインの論文「Conditions for Intuitive Expertise:A Failure to Disagree」を含む数々の研究が、直感について多くのことを明らかにしている。
その一部を紹介しよう。