自分が立案していない事業や戦略を実行することは容易ではない。まして計画に欠陥があると感じたらどうするか。会社に上手に直訴する方法はあるのか。

自分が関わっていない業務計画に不安を感じたら

ほとんどのマネジャーが、他人が策定した戦略や業務計画を実行するよう命じられた経験があるだろう。

マネジャーの責務は、その戦略を実行し、自分のチームにやり遂げさせることだが、命じられた戦略や計画そのものに問題があると思うときはどうすればよいのだろう。会社が意図しているような結果を達成できないと思うことがあるかもしれないし、それどころか会社を危険にさらすと思うことがあるかもしれない。

こういった懸念を感じたときは、それがどれほど小さいものであろうと、マネジャーは上にきちんと表明するべきなのだ。

だが、「この計画は間違っている」とすぐに言うのはあまり効果的ではなく、「騒ぎすぎる人」という烙印を押されるおそれもある。できれば最も建設的な形でその懸念を上に伝えたいところだ。思慮深く行動することで、マネジャーは自分の懸念を表明し、自分のチームと会社に、時間とエネルギーと資金を節約させることもできる。

そもそも事業戦略策定というものは難しくて時間のかかる作業である。しかもいかなる戦略であっても、その最終形態は決して完璧なものではない。だが、会社組織に属する者として、あなたはもし戦略や計画に問題があると思ったらきちんと行動する責任がある。

ハーバード大学経営大学院教授で、『Becoming a Manager:How New Managers Master the Challenges of Leadership』の著者としても知られるリンダ・ヒルは、「組織に深く関わる者は誰でも、疑問を感じたら声に出す義務を負っている」と言う。

だが、事は慎重に運ばなければならない。ロンドン・ビジネス・スクール幹部教育コースの責任者で、『The Upside of Turbulence: Seizing Opportunity in an Uncertain World』の著者でもあるドナルド・サルは、「『ばかばかしい』と言うだけでは何の益もない」と忠告する。

いたずらに騒ぎ立てる前に、まずは次に紹介する手順を踏んで、何が本当に問題なのかを見きわめよう。