意見の違いだけで、心の中の不安が肥大していないか
戦略が正しいか間違っているかは考え方の問題でもある。
「そこそこ悪くない戦略が見事に実行されたとしたら、完璧な戦略がいいかげんに実行されたときより十中八九、よい結果をもたらすだろう」とサルは指摘している。
どんな戦略にも欠点はある。だから、実行を命じられたマネジャーが変更すべきと思う点があっても、必ずしも異を唱える必要があるわけではない。ニールソンは懸念を感じるマネジャーに、次のように自問することを勧める。
「この懸念は単に自分なら別の方向で考えていただろうということなのか、それとも会社が使った分析なりデータなりプロセスなりに欠陥があったと思うのか」
懸念のどこが本当に重大で、どの点が意見の違いによるものなのかを見分けるのは、マネジャー自身の責任だ。
単に自分が難しいことをしたくなくて戦略に異議を唱えているのではないか、と自問することも必要だ。
「中間管理職は戦略の不完全さを積極的に行動しない口実にすることがある」とサルは言う。あなたの消極的な姿勢は、変化を拒む気持ちや戦略会議から締め出されたことに対する怒りに根ざしているのかもしれない。声を上げる前に本当の原因を認識しておこう。
自問自答した後も懸念が残っていたら、それを上に伝える必要があるだろう。