今年の「浅草スタイル」で人混みのリスクを減らす

悲劇や地元への迷惑行為をなくすことはできるのでしょうか? コンサルの視点で3つのリスクについてそれぞれの対策を考えてみたいと思います。

そもそもの前提として全国各地の花火大会は公共事業として行われ、無料の観覧イベントとして大量の人が集まる傾向があります。もちろん主催者としては観覧エリアについては事前に抽選するなどして入場規制を行うのですが、花火は遠くからでも見られるわけで、それをあてにして公道に集まる人の数まで制御をするのは難しいものです。

今年に関してはコロナ禍明けということで、例年にないほどの人が集まるのは特殊傾向かもしれません。一方で観覧客にはインバウンドの訪日客が多いことも事実で、その人数は来年以降も増加の一途をたどるでしょう。

その観点で考えると、人混みの人数を減らす対策には限界があると思います。そうではなく人が大量に集まることを前提に、浅草で行われたように人混みが流れていくように一方通行規制を設計し、それを守らせたうえで、人波を分断しながら動かすことで群衆雪崩のリスクを減らしていくことしか対策はないと考えるべきです。

この点で、今回浅草で機能していた警視庁のやり方は、来年以降、全国各地にノウハウとして広めていくことが重要です。

写真=iStock.com/Gargolas
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「水の持参」は繰り返し呼びかけるしかない

つぎに熱中症の問題を取り上げると、この問題はこの先、より深刻な問題となっていくはずです。気候変動による夏の気温の上昇は「数年に一度、異常に暑い夏が発生する」ところがポイントで、実は毎年酷暑が繰り返されるわけではありません。

そのことの何が問題かというと、忘れた頃に熱中症が増える年が訪れるということです。そして夜だから昼間よりも涼しいだろうとか、コンビニや自販機がこれだけあるからいざとなれば水分は手に入るだろうとか、その予測が裏切られるのです。

この問題については啓蒙けいもう活動を繰り返し行うしか方法はありません。花火大会に出かけるなら「十分な水分を手に持って出かけよう」と繰り返し呼びかけるのです。