人を刺す「害虫・スズメバチ」の知られざる本性
夏になるとハチに刺される事故のニュースが恒例行事のように流れます。
厚生労働省の人口動態調査によれば、1984年の73人を筆頭に、毎年数十人の人命がハチに刺されたことが原因で失われているのです。この数は、クマ(ヒグマ、ツキノワグマ)や毒ヘビ(ハブ、マムシなど)の被害と比較にならないほど多く、社会問題化しています。
一口にハチと言ってもミツバチ、マルハナバチ、アシナガバチ、スズメバチに代表される家族で社会生活を営むグループや小さな寄生蜂のように単独生活するグループなど実に多様な種が知られています。
それらのハチの中で、人への刺害をもたらす衛生害虫として最も注目されているのが「スズメバチ」です(写真1)。
前述の死亡事故のほとんどが、スズメバチによって引き起こされているからです。日本には在来の同所性スズメバチ(Vespaという属に分類される大型種)が6種分布しています(写真2)。沖縄県にはもう一種ツマグロスズメバチ(写真3)が分布しています。