スズメバチは振動にもとても敏感に反応するので、駆除作業が終了するまでの間はドアの開け閉めや扉のスライドの際の微動などにも細心の注意を払う必要があります。

興奮したスズメバチは色の濃い部分を攻撃する習性があります。頭髪や目など人の弱点を狙ってくるので、これからの季節、スズメバチの巣のありそうな場所にでかける際には、色の淡い帽子や着衣を選択するのもお勧めです。

さらに、スズメバチは“揮発性の香り成分のブレンド”を餌場を知る手がかりにしたり、仲間との情報伝達に使うフェロモンとしていることが分かっています。

それらの香り成分のどの物質がどう組み合わさると、スズメバチにとってどのような意味となるのか不明な点が多いのですが、万が一にも警報フェロモンとして機能するブレンドになってしまうと、何もしていないのにいきなり多数の蜂に攻撃されてしまいます。

香りの強いものを付けてスズメバチの巣に近づかないようにするのが無難と言えます。

刺された場所を口で吸ってはいけない

どんなに注意していても刺されてしまうことがあるかもしれません。そのような場合の初動対応としては、まず、刺された場所がスズメバチの巣の近くの場合、できるだけ早くその場から離れましょう。興奮した多数の働き蜂により次々に攻撃が重なるので危険だからです。

次に刺された患部を綺麗な冷水で洗い流し、できれば指で摘まむか市販のポイズンリムーバーなどを使って少しでも毒液を体外に出すのは有効です(写真12)。

(写真12)市販の毒を吸い出す器具の使用例。撮影=小野正人、無断転載禁止。

この時、絶対に口で吸ってはいけません。毒液が口腔内の傷から体内に入る可能性があります。刺された箇所が赤くあるいは紫色になっているのは、毒液中のタンパク質を破壊する酵素の作用の可能性がありますが、患部周辺だけが痛み腫れる状態(写真13)であれば、安静にしていれば良いのです。

(写真13)スズメバチの刺症例。撮影=小野正人、無断転載禁止。

しかし、身体全体に蕁麻疹がでたり、呼吸困難になる、血圧が低下して意識がもうろうとなるなどの全身症状が出た場合には、医師によるアナフィラキシーへの適切な治療が必須になるので、一刻も早く病院(アレルギー内科、皮膚科)で適切な治療を受ける必要があります。

アナフィラキシーショックは蜂毒に対しての急性アレルギー反応なので、過去に蜂に刺された経験のある方は、事前に病院などで抗体検査をしてもらい、場合によってはエピペンを処方してもらっておくと万が一の場合に有効かもしれません。