起業家がもっと政界進出すれば政治は変わる

例えば、米国のライドシェア(例:ウーバー)みたいなビジネスができるように規制改革をやりたいと思っても、改革に反対するタクシー業界と政治家が献金と票でつながっているから、ストップをかけられてしまう。

あるいは、コーヒーショップの経営に例えるならば、絶対にうまくいくはずのない新規出店であるにもかかわらず、新店舗の不動産のオーナーから献金を受けているから赤字覚悟で出店するというような、不合理なことが横行しているのです。しかも、いくら赤字を出したってしょせんは税金ですから、政治家自身の腹はまったく痛みません。

自分で稼いだことがない二世、三世の議員が多いから、こんなにデタラメな判断ができるのかもしれませんが、日本の政治家は、国民の生活を便利にし、豊かにする政策の芽を摘む一方で、献金や票田をとても大切にしています。それが日本の政治家の常識なのです。

ですから僕は、起業家や本気の経営経験のある人たちがもっと政治の世界に進出するべきだと思っています。私みたいな人間が1人、2人政治家になったところで、永田町の住人から「頭がおかしいヤツ」とレッテルを貼られてすぐに潰されてしまうだけですが、半沢直樹みたいなビジネスパーソンが大挙して政界に進出していけば、日本の政治は大きく変わると思うのです。

僕は世襲議員の全てが悪いとは思っていませんが、せめて4分の1くらいに割合を減らして、起業家を4分の1、士業の人やサラリーマンとして揉まれてきた人を4分の1、アカデミアを4分の1といった配分にしていけば、もっともっと国民のための政治ができるようになるのではないでしょうか。

撮影=髙須力
自ら政治家になってみて、日本の政治の課題が多く見えてきたという

騙す人になるより、騙される人のままがいい

こうやって自分の半生を振り返ってみると、ずいぶんいろいろなことに挑戦してきたものだと思いますが、まだまだチャレンジしたいことはたくさんあります。

僕は弟を若い頃に亡くしています。

弟は性格がよかっただけでなく、あらゆることに長けた子でした。僕なんかよりはるかに才能に溢れていて、サッカーをやればすぐにスター選手になってしまったし、ギターを持てばプロはだしの演奏をしてしまう。まさに、“He is talented.”という弟だったのです。だから僕には、彼の代わりになって僕がいろいろなことをやらなくては、という思いがあるんです。

それにしても、自分はずっと同じ失敗を繰り返していようなる気がします(笑)。

人を信じて、信じて、何回も何回も裏切られる。タリーズ時代も政治家時代も、同じ失敗の繰り返しです。直さなくちゃ、とは思うのですが……。やっぱり騙す人になるより、騙される人のままがいいのかなと思ったりもします。そのほうが墓に入るときに気持ちよく入れるように思います。

(聞き手・構成=ノンフィクションライター・山田清機)
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