幼い頃のトラウマからどうやって回復するか

ルミさんの顔の悩み自体は突拍子のないものではなく、幼い頃の母親からのトラウマのせいで強いコンプレックスを抱いている状態です。

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ひとりのときには鏡で何度も確認してしまうという強迫行為があるものの、人目もはばからず長い間見つづけるほどではありません。ただ、生活そのものはあきらかに破綻していました。

身体醜形症とも言えますが、恐怖性不安障害の傾向も強く出ています。とくに、お腹が鳴ることや自分の顔のせいで他人を不快にさせることを極端に恐れるせいで社会生活を送れていないことを考えると、社会恐怖(対人恐怖)の可能性もありました。

カウンセリングをするうちに、母親が気持ちを理解してくれないことに対する強い怒りがわいてきて、父親からDVや言葉の暴力を受けたことも思い出しました。

家庭内で否定的な経験ばかりしてきたために、自己肯定する力を得られず、「自分が可愛い容貌をしていないからだ」と理由づけることで、何とか自分を保っていたのでしょう。

それが身体醜形症、自己臭恐怖(自分が臭いと気にする症状)など社会恐怖としてあらわれ、回避性、依存性、妄想性、境界性パーソナリティ障害の症状を引き起こすまでにいたってしまったのです。

分析を進めると、思考のクセが極端にネガティブなのがわかりました。自分で悲惨な未来を予測して恐怖にとらわれてしまう思考パターンです。

ルミさんの思考パターンをポジティブな思考の選択肢に置き換えていくことで、今の生活から脱却することを目指していこうと合意し、現在もカウンセリングをつづけています。

思春期失調症タイプは心身のアンバランスが原因

子どもは日々成長する存在であり、その心も身体も成熟の過程にあります。

なかでも「思春期」は、子どもと大人の狭間で揺れ動き、心と身体が大きく変化する時期です。

本来なら、変化する自分と向き合うなかで新たな自己を発見し、自分なりの価値観を身につけてアイデンティティを確立していくことになるわけですが、身体の成熟の早さに心の成熟が追いつかず、心身のバランスを崩してしまう子どもたちも少なくありません。

学校に行きにくかったり、引きこもりがちになったり、身体の不調を頻回に訴えるなど、さまざまな悩みや問題を抱えている子どもたちが多くいます。

精神的に親から自立することへの不安のあらわれでもありますが、その不安が何らかのきっかけで膨らみすぎてしまうと、不登校や摂食障害、リストカットなどの自傷行為にまでいたります。

自己意識が発達してくる時期でもありますから、「他人から見られる自分の姿」が気になるようになるのは自然なことですが、さまざまな心身のアンバランスや自立への不安が、容姿への強い劣等感につながってしまうことがあります。