やりっぱなしはやめよう
私が最も言いたいことは、「やりっぱなしはやめよう」ということだ。たとえばフランス・パリでは、2018年頃から電動キックボードが急速に普及したが、コロナ禍を経て段階的に規制がかけられた。2023年4月の住民投票の結果を受けて、2023年8月末をもって廃止される予定だという。
つまり、「やってみること」と「見直すこと」をしっかりと怠らずに行い続けたわけだ。私は別に電動キックボードの是非を主張したり、問いたいわけではない。こうしたプロセスこそアップデートの真骨頂であり、日本が足りていない部分ではないかと感じるのである。
オーバーツーリズムの処方箋
2023年に入って、世界中から日本を目掛けてやってきてくる流れが生まれてきている。円安も追い風になっていることだろう。しかし、せっかく日本に来てくれても、満足してもらえなかったら、次の訪問(リピート)は見込めない。これは由々しき事態だ。
訪日初心者ほど、ゴールデンルートと呼ばれる東京、箱根や富士山、名古屋、京都、大阪を選ぶ傾向がある。
ゴールデンルートばかりに集まるような状況が加速すれば、必ず局所的にオーバーツーリズムが発生し、それによって住民と観光との間で軋轢や摩擦が増長していく。
満足度を担保することによってリピーターを獲得し、それによって生じるゴールデンルート以外への誘客は、オーバーツーリズムの最も効果的な処方箋であり、持続可能な形で観光を基幹産業として成り立たせるために不可欠であるといえよう。