世帯主収入の手取りは18万円も減少
念のために付け加えておくと、この表で使っている手取り収入は、正確ではない。
なぜなら、税金と社会保険料には、世帯主以外の働き手が納めた分も含まれているからだ。
ただ、世帯主以外が稼いでいる勤労収入は家計全体の1~2割であり、その収入は所得税や社会保険料のかからない水準のものが大部分であるため、無視しても大きな間違いにはならないだろう。
さて、税金と社会保険料だけを差し引いた世帯主収入は、33年間で、384万円から398万円へと3.8%増加している。
しかし、注意しておかなければならないことは、この期間で消費税率が0%から10%(食料品は8%)に引き上げられているということだ。
この間接税の負担増は、32万円に及んでいる。つまり33年間で、税金は36万円、社会保険料は41万円も増えたことになるのだ。
消費税増税分も含めた税社会保険料を差し引いた世帯主収入の手取りは、384万円から366万円と、18万円も減少している。
「急激な増税と社会保険料アップ」が日本経済を破壊した
なぜ、日本経済がこの30年間、ほとんど成長しなかったのかという疑問がしばしば提起されている。
日本企業がイノベーションを怠ったからだとか、終身雇用・年功序列処遇が時代に合わなくなったからだとか、企業が雇用を守るために賃金を抑え込んだからだなどといろいろな意見が出されているが、この表を見れば、答えは明らかだろう。
日本経済が成長できなくなった最大の理由は「急激な増税と社会保険料アップで手取り収入が減ってしまったから」だ。
使えるお金が減れば、消費が落ちる。消費が落ちれば、企業の売上げが減る。そのため企業は人件費を削減せざるを得なくなる……という悪循環が続いたのだ。
ザイム真理教は、国民生活どころか、日本経済まで破壊してしまったのだ。