日本経済はなぜ低迷しているのか。経済アナリストの森永卓郎さんは「日本の国民負担率はイギリスより高い。社会保障のレベルを考えれば、日本は『重税国家』。手取り収入が減り、消費が落ち、企業の売上げが減って、人件費を削減、という悪循環が続いている」という――。

※本稿は、森永卓郎『ザイム真理教』(三五館シンシャ)の一部を再編集したものです。

最大の理由は「消費増税」にある

国民負担率の上昇は、本当に高齢者の責任なのだろうか。

国民負担率の上昇は、本当に高齢者の責任なのだろうか(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/Ridofranz
国民負担率の上昇は、本当に高齢者の責任なのだろうか(※写真はイメージです)

国民負担率は、2010年の37.2%から22年に47.5%へと10.3ポイント上がっている。

そのうち租税負担が7.2ポイント、社会保障負担が3.0ポイントの上昇。つまり、国民負担増の大部分は、税負担が上昇したことの結果だ。

なぜ租税負担率が上昇したのか。

最大の理由は、2014年と2019年の2回にわたって消費税率が引き上げられ、消費税率が5%から10%に倍増したからだ。

この大増税によって国民生活が追い詰められてしまった。

「百姓と菜種は絞れば絞るほど取れる」

もともと徳川家康は「百姓どもを、死なぬように生きぬように合点いたし収納申し付けるよう」と命じていたと伝えられる。しかし、幕府は農民が死んでしまうほど年貢米の比率を引き上げた。

私は、小学6年生のときに教室で見せられたテレビ映像がいまでも忘れられない。

年貢米を少しでも減免してほしいと懇願する農民を袖にしたお代官さまがポツリとこう言ったのだ。

「百姓と菜種は絞れば絞るほど取れる」