「オタク」は思考の老化予防になる

あらゆるジャンルに、自分の好きなことを狭く、深く掘りさげているマニアがいます。

いわゆる「オタク」と呼ばれる人たちです。

こうした人たちは「好奇心の幅が狭い」という点では、やや老化的な思考とも言えますが、その圧倒的な深さは好奇心あってのたまものです。

「鉄ちゃん(女性なら鉄子)」と呼ばれる鉄道ファンは、思考の老化予防という点では有利ではないかと思います。

写真=iStock.com/MASAHIKO NARAGAKI
鉄道ファンは、思考の老化予防という点では有利(※写真はイメージです)

とくに「乗り鉄」(鉄道に乗ることが好きな人)や「撮り鉄」(鉄道写真の撮影を趣味とする人)、「音鉄」(発車メロディや走行音の好きな人)の人たちは実際に行動してその場に行くので、脳にいい刺激を受けていると思います。

最近、駅のホームや線路沿いなどで、スマホで列車の写真を撮っている中高年もよく見かけます。古典的な「鉄ちゃん」とは違い、普通のおじさん、おばさんが日常的な雰囲気で、鉄道にスマホを向けています。

鉄道が走る風景を見て、「撮影したい」という衝動を抱いたのでしょう。これはとてもいいことだと思います。

町を散策する60代、70代が増えている

鉄道ファンに限らず、世の中にはさまざまな「オタク」がいて、世間から見れば理解しにくいことに情熱を傾けています。

たとえば最近、地形をたどりながら町を散策する60代、70代が増えているようです。

東京なら四谷、渋谷、赤坂、上野あたりは、江戸時代に地形を活かした町割がつくられ、それを踏襲する形で現代の町並みができあがっているそうです。

その痕跡こんせきを発見しつつ、嬉々ききとして歩いているのです。

用水や水路に蓋をした暗渠あんきょや、市区町村の境界もポイントらしく、知らない路地であってもつい入ってみたくなるようです。