オアシスが主張する8つの疑惑は「すべて虚偽です」
例えば、都心の一等地である港区麻布に「ドムス元麻布」という超高級マンションがあり、内山氏は自身と家族のためにその1部屋を会社に購入させて居住し、賃料を支払っている実態がない。しかも、その物件は市場価格で7億2500万円は下らないのに、のちにフジテックから内山家の資産管理会社に著しく廉価で売却され、内山氏は私腹を肥やしてフジテックに巨額の損害を与えた――という内容だ。
これに対し、河合弁護士は「オアシスがそのウェブサイトで流布している内容は徹頭徹尾、すべて虚偽です」と主張する。
「このドムス元麻布というマンションは、もともと滋賀県が本社であるフジテックが首都圏の営業を強化していかなければ業績向上は望めないという経営計画を立て、社長自らが都心でトップ営業をかけるべく、重要な取引先を会食接待するための迎賓館施設として2012年に2億9000万円で購入したもの。トップ営業を徹底させるため、内山さんも家族で居住できるスペースも確保し、その分の家賃は相場価格で計算し、きちんと会社に毎月支払ってきた。
もちろん、購入額も使用用途についても家賃額もすべて取締役会で決議され、監査役会でも承認を得ているし、税務署からも指摘など受けたことがない。さらに実際、そうした営業活動で首都圏での営業実績が格段に急成長した。数%しかなかった首都圏でのシェアが、その後20%以上にまで拡大したのです。これは決算上でも明確に示されている」
「損害どころか売却益をもたらしている」
「そして、コロナ禍になって会食接待という営業活動ができなくなり、迎賓館としての用途が不要になったため、2020年に内山家の会社がフジテックから買い取ったわけですが、その額もきちんと不動産業者の相見積もりを取った公正な額であり、しかもフジテックが購入した額より約8000万円も高い約3億7000万円で購入しているのだから、フジテックには損害どころか売却益をもたらしているわけです。
もちろん、その買い取りについても取締役会の決議を経ているし、この際、内山さん自身は個人に関わる売買だから利害関係人として決議の場には参加せず、会社法上の公平性も担保されている」
さらにマンションの評価額についても、河合弁護士は「あまりにデタラメ」と強調する。
「このマンションの現在の価値は7億2500万円は下らないのだから、内山氏は超高級マンションを会社に買わせてそれを格安で手に入れた、と指摘していますが、算定根拠をまったく明示していない。本来、不動産物件の評価はきちんと部屋の内部も調査した上で行うのが常識ですが、オアシスはそれをしていない。
われわれはまったく利害関係のない専門の不動産業者2社に内部も含め調査してもらって評価額を相見積もりしてもらったところ、その平均額は3億7000万円であり、まさに実際に内山家の会社がフジテックから購入した額とほぼ同一。つまり、このマンションについてのオアシス側の指摘はすべてが虚偽です」