過去には違法行為で金融当局から制裁も

そして、これも注意しておくべき点だとして、こう指摘する。

「さらに、今回の訴状でも指摘しておきましたが、オアシスおよび代表のセス・フィッシャー氏はこれまで日本や香港当局から、株価操縦などの違法行為で制裁金を課されたことも判明しているのです」

例えば2011年9月、日本航空株の公募増資の際、相場操縦によって株価を吊り上げたとして、最終的に香港の証券監視委員会からオアシスとセス・フィッシャー氏個人に戒告処分と750万香港ドルの制裁金を課されている。訴状ではこのほか、米国などでも他の取引で戒告処分や制裁金を課されたことがあるとも記載されている。

米国市場では近年、カラ売りをめぐって不透明な取引が相次いでいる。米司法省と証券取引等監視委員会が2021年末以降、複数の投資会社を捜査している、との報道もある。一連の疑惑についてオアシスに問い合わせたが、「訴状が届いていないためお答えできない」と回答があった。

最大の懸念は中国企業に売却されること

「内山さんやわれわれがいま最も懸念しているのは、オアシスがこのあと、経営合理化などと言いつつフジテックの工場など資産を売却してリースバックにするべきだとし、その売却益を株主配当にまわさせて儲ける。

そして最終的には吊り上げた株価で巨額の利益を得るため、中国企業に売却することをもくろんでいるのではないかという点です。実際、セス・フィッシャー氏はすでにメディアの取材に『売却提案があればオープンにして検討すべきだ』などと発言している」(河合弁護士)

そして内山氏が続けて、こんな気になることを証言する。

「実は過去何度か、中国企業から買収提案を含む接触がありました」

ほとんど知られていないが、実はフジテックのエレベーターは、内山氏による首都圏攻略のトップ営業によって中央官庁への設置が極めて多い。防衛省から財務省、法務省、国土交通省、あるいは最高裁や東京高裁・地裁、さらには自衛隊、議員宿舎、あるいは原子力発電所など、これらだけで700台近く。そして、全国の空港には300台近く設置されている。