最終手段は「棚上げすると決める」こと

しかし、その中でもどうしても完了できない、つまり、向き合うことすら困難なものもある。場合によっては、人に言えないもの、言いたくないものもあるだろう。

それらは、「これは未完了のままにしておく」と、一旦棚に上げておこう。「これは私の中でいまは扱わない」と決め、しかるべきタイミングで扱う。ポイントは、“扱えない”のではなく“扱わない”と決めること。それは、あなたの意志によって決める。

その際は、「この未完了に関して、何からだったら行動できるか?」と問いかけてみる。一気に完了に持っていく必要はない。できる範囲で、少しずつでいい。例えば、人間関係で癒えることのない深い傷を負っているとしたら、そのことをもし伝えられる人が現れたタイミングで、少しずつ伝えてみる。扱うには勇気がいるが、未完了を抱えたまま生きていくことほど不健康なことはない。多少のダメージを負うかもしれないが、完了する勇気を持って向き合えば、それ以上の何かを得られるはずだ。

まとめると、完了の仕方は大きく4つ

① いま、やる
② いま、誰かに依頼する
③ いま、実行する日を決める
④ いま、やらないと決める

完了すると軽くなる

ここまで、10分間で未完了を紙に書き、15分間で実行するということを実際にやった人は、完了の効果を具体的に感じているはずだ。「スッキリする」という感覚になる。

そう、完了すると異様に軽くなる。決して新しくスペースを獲得、拡張したわけではない。

元々あった自分のスペースの中に未完了が居座っており、それらがなくなっただけである。つまり、元々あったスペースを取り戻しただけである。

たったそれだけのことだが、パフォーマンスは劇的に改善する。しかも、それに要する時間は、わずか25分だ(10分で書き出し、15分で実行)。

高森 勇旗『降伏論「できない自分」を受け入れる』(日経BP)

パフォーマンスは“上げる”ものではなく、“取り戻す”ものであり、“回復する”ものなのだ。本来の自分を取り戻すだけでいい。

ほとんどの人間は、そもそもパフォーマンスが高い。それらが未完了によって自動的にパフォーマンスを下げられているだけであって、ひとたび完了されれば、元の高性能な自分に戻ることができる。

パソコンだって、ずっと使っていると動作がどんどん重くなる。定期的にキャッシュを清掃することで、動作が元のスピードに戻る。あれと同じようなものである。

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