有給休暇は「ポイント制度」と似ている

実際のところ、ポイントというのは、消費者への利益還元システムではあるのですが、同時に、販売側からすれば、消費者行動を誘発させるためのインセンティブなんですね。ポイントで消費者に還元するくらいなら、最初からその分値引きすればいいじゃないかと私は思うのですが。

私が、ポイントに無頓着なのは、自分がそんな「撒き餌」に執着して、無駄な神経を使いたくないと考えているからかもしれません。

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実は有給休暇も、このポイントのお話に、似ていなくもないんですね。

有給休暇の制度は、社員が行使する当然の権利なのですが、この権利を行使しないと損をすると考えている人もいるようです。だからと言って、有給をお金で買い取ったり、他の社員に譲渡したりすることはできませんので、商品ではない。そのあたりが、ポイント制度と似ているように思います。

「二者択一」ではなく「程度」の問題

では、こうした「制度」を、どのように考えればよいのでしょう。

「制度はほどほどに使うもの」とお考えになる相談者の感覚を、私は素晴らしいと思います。私もまったく同感です。

結論から先に言ってしまいますが、ほどほどがいいのです。なぜなら、こうした制度は使い切るべきか、使わないで置くべきかの二者択一問題ではないからです。

二者択一問題でなければ、何なのか。

それは、これまで何度も言ってきているのですが、程度の問題なんです。

私たちはしばしば、程度の問題を、二者択一の問題に読み替えて、単純化しようとします。

熱い湯がいいか、ぬるめがいいか、甘いものが好きか、辛いものが好きかといったたわいのない嗜好しこうの問題から、保護主義がいいのか、自由貿易がいいのかといった通商問題、大きな政府にすべきか、小さな政府にすべきかといった国家統治システムの問題に至るまで、私たちはさまざまな場面で、二者択一を迫られます。

でも、私はいつも、そんなの適当でいいんじゃないかと思ってしまいます。

いいかげんがいいと思っています。