自由料金は燃料費調整額に大きく左右される
月々の電気料金は、「基本料金」「電力量料金」「燃料費調整額」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」を合計した金額です(図表1)。
「燃料費調整額」を計算するための「燃料費調整単価」は、電力会社が発電に使用する原油・LNG(液化天然ガス)などの価格変動や為替レートを加味して決定します。自由料金プランが高騰した背景には、この燃料費調整額の上昇があります。
燃料費調整額は毎月変動し、燃料費が基準価格よりも低ければ電気料金から減算、高ければ加算されます。たとえ価格が上昇しても、規制料金であれば上限が設けられていますが、自由料金だと上限を設けていないとか、新電力の中には独自の計算方法をするところもあり、変動幅が異なることがあるのです。
規制料金の値上げには「お墨付き」が必要
規制料金とは、電力の小売りが自由化される以前から、東京電力や関西電力など、大手電力会社10社が提供していたメニューのことで、いずれ廃止される予定ですが、経過措置として現在も提供されています。規制料金の場合、燃料調整単価の改定は電力会社の一存で行うことができないので、上限を超過した分は電力会社が負担していました。
しかし、このままでは事業の継続が困難になることから、大手電力会社のうち7社が引き上げを申請し、政府は5月16日開催の「物価問題に関する関係閣僚会議」において、値上げ幅を確定する査定方針案を了承しました。これによって、家庭向けの規制料金が6月使用分から上がることになり、大幅な値上げとなりました。
消費者が料金メニューを自由に選べるようになったと言いましたが、住んでいる地域によって一定の制約を受けることは避けられません。電気とガスに分けて、それぞれの事情を見ていきます。
電力エリアは日本全国で10に分割されており、大手電力会社10社の送配電エリアと重なります。自由化後に参入した新電力は、この送電網を利用して電気を各家庭に供給しています。送電網が違えば利用する発電所が異なり、それに加えて新電力の場合は、送電網の託送料金による違いもあるため、電力エリアによって電気代が異なるのです。