首都圏の新築分譲マンション平均価格が1億円を突破した。一方で、中古マンションの売れ行きは悪化している。売却を急ぐべきなのか。スタイルアクト代表の沖有人さんは「不動産価格が下がるきっかけは『令和版総量規制』になる可能性が高い。見極めるにはメディア報道に注目するといい」という――。

中古マンションの売れ行きは悪化している

首都圏の新築分譲マンション平均価格が1億円を突破した(不動産経済研究所調べ)。2023年3月の平均価格が1億4360万円だったのは、浜松町駅直結の世界貿易センタービルの建て替え案件であるWORLD TOWER RESIDENCEと港区三田綱町という億ションしかない立地にできる三田ガーデンヒルズの販売が重なったからだ。1億円以上の億ションの契約戸数は東京23区で694戸で、3億円以上が315戸に及んだ。

一方、中古マンションの売れ行きは悪化しており、2023年に入って価格調整が行われている。2022年11月に都心3区の成約平方メートル単価が163万円と最高値を付けてから、12月160万円、2023年1月147万円、2月145万円、3月151万円と11月から約1割下げている。

東京中心部の空中写真
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「家探し」が「レジャー」に置き換わった

新築価格が高騰し、中古価格が下がる現象を正確に把握しておく必要がある。

自粛期間中は行動制限されてステイホームが推奨されたがゆえに、家を探すニーズが顕在化した。もう1部屋多い持ち家を探す人が急増し、需給バランスがひっ迫し、中古の成約単価は急伸した。その巣ごもりの特需の潮目の変わり目は2022年10月11日になる。全国旅行支援と在留資格外国人の全面受け入れが同時に始まった日だ。これはコロナ禍の自粛の終焉しゅうえんを意味する。政府が自粛要請していた観光やレジャーを推奨する方向に転換したのだ。

これにより、土日祝日に行っていた家探しがレジャーに置き換わっていく。特需が減るだけでなく、通常家を購入するファミリー世帯も家探しどころか、我慢していたレジャーを溜まり需要のように行うようになる。家を買おうとする世帯は既に急減したのだ。