電気料金を安く抑えるにはどうすればいいか。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんは「大手電力だけでなく、新電力の自由料金プランも、燃料費調整額の上昇で高騰している。料金プランの勧誘を鵜呑みにせず、自分で選択肢を探し、比較することが重要だ」という――。
「電気代」と書かれたニュース見出し
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電気料金値上げ、今秋以降はさらに打撃

6月1日から電力大手7社が家庭向け電気料金を大幅に値上げします。報道によると、平均値上げ幅は、最小の東電でも15.3%、北海道20.1%、東北21.9%、四国23%、中国26.1%と続き、沖縄は36.6%、北陸は39.7%にもなる見通しです(中部、関西、九州は値上げなし)。

近年、ロシアによるウクライナ侵攻といった世界情勢や円安等によるエネルギー価格の高騰が続いています。暮らしへの悪影響を緩和するため、国が電力・都市ガスの小売業者に補助金を交付し、それを原資にして使用量に応じた値引きを行う制度がスタートしています。

補助を受けられるのは、2023年1月使用分(2月検針分)から同年9月使用分(10月検針分)までとなっており、その後については分かっていません。プロパンガス(LPガス)を使用している家庭は対象外でしたが、何らかの負担軽減策が行われる模様です。

しかし、この6月からの値上げで、国の補助をもってしても負担増は免れず、今秋以降はさらに家計に打撃を受けることが予想されます。今回は、変動の激しい電気・ガス料金を安く抑えるポイントについて解説したいと思います。

大手電力より新電力のほうが高くなっている

日本では、電力の小売りが2016年4月から、都市ガスの小売りが2017年4月から全面自由化され、消費者は電力会社やガス会社が提供する料金メニューを自由に選ぶことができます。

自由化によって競争が働き、料金が安くなることが期待されたのですが、今回のエネルギー価格の高騰により、思いがけない事態に直面する人が出てきました。大手電力会社の規制料金プランよりも、新電力会社(※1)の自由料金プランのほうが大幅に高くなってしまったのです。

事例を一つ紹介しましょう。

都内の賃貸マンション在住のAさん(30代女性)は、不動産管理会社が指定した新電力と契約していました。節約志向であまりエアコンを使わないため、電気料金は月平均3200円(平均使用電力量は約80kWh)、夏場でも4500円程度に抑えられていました。しかし、2022年秋から請求金額がジワジワと高くなり、2023年1月には6000円を超えました。使用電気量はこれまでと同様、80kWh程度だったにもかかわらずです。

新電力会社は値上がりの理由を「燃料費調整額の上昇」と説明しました。東京電力に切り替えたAさんの電気料金は、国の負担軽減策もあって、現在の料金は2500円程度に収まっています。

なぜこのようなことが起きたのでしょうか。

※1 電力自由化によって新たに参入してきた、大手電力会社以外の電力会社のこと