好きになれなければ、その仕事は失敗する

当時、オデオがつくっていたのは「ポッドキャスティング」のサービスであり、ベンチャーキャピタルからの資金も得ていた「有望なサービス」のはずでしたが、2005年、アップルがiTunesにポッドキャスティング機能を加えたことで状況は一転します。

アップルが本気でポッドキャスティングに取り組めば、オデオの生き残る道はありません。生き残るためにはアップルに負けないサービス、アップルが興味を示していないポッドキャスティングのソーシャルな機能を強化することが必要ですが、ストーンはこの時、さらに大切なことに気づきました。

「僕たちにはこれ(ポッドキャスト)にかけたいという思い入れがなかった。自分たちがつくっているものを好きになれなければ、自分自身が熱心なユーザーになれなければ、どんなにほかをうまく進めたとしても、その仕事はおそらく失敗する。僕は自分が興味が持てないものには取り組めない(1)

順調であってもそうでなくても、今自分がやっている仕事が自分は実は好きではない、夢中になれないと気づいたら、あなたはどうしますか? もしそれが稼げる仕事や、人が羨むような仕事だったらどうでしょうか?

ツイッターは「好き」から始まった

アップルを率いるジョブズの凄さは、徹底して「自分たちが使いたいと思う製品やサービス」をつくるところにありました。自分たちが心の底から「好き」と思えるものだからがんばれるし、がむしゃらに働くこともできるのです。

「このままではダメだ」と気づいたストーンはウィリアムズに「すぱっと手を引いて、持っている資金を使って夢中になれるものを始める」ことを進言します。そして社内でハッカソン(2)をやった結果、次にやることになったのがストーンとジャック・ドーシーがつくった「ツイッター」のアイデアです。

最初は小さなアイデアでしたが、試作を試みるうちに誰もが夢中になっていきました。

途中、ツイッターが注目され始めたころにフェイスブックから買収の提案もありましたが、ストーンたちはオファーを断りました。