最初は朝食を知らせ合うためだけのツールだった
理由は、自分たちが始めたこのツイッターというサービスへの情熱は立ち上げ当時と変わっておらず、自分たちでこれをやり通したかったというものでした。
やがてストーンは、ツイッターの価値をこう評します。
「ジャックと僕が、朝食に何を食べたかを知らせるためにつくったツールがここまで来たのだ。ツイッターで働く社員に、自分たちのしている仕事はすごいんだとわざわざ言う必要はもうなかった(3)」
ストーンの場合、手がけていたポッドキャスティングサービスがアップル参戦により駆逐されうるという状況はあったものの、強力なライバルが登場しようがしまいが、すごいものをつくりたいなら、自分が夢中になれるだけの情熱は欠かせません。次に紹介するダニエル・エク(スポティファイ創業者)の話もそれを証明しています。
1、3『ツイッターで学んだいちばん大切なこと 共同創業者の「つぶやき」』(ビズ・ストーン著、石垣賀子訳、早川書房)
2 hack+marathon=新しい製品やソリューション構築のためにアイデアを出し合うイベント
11歳の時には「ビル・ゲイツよりビッグになる」
もう1人、自分が好きなこと、やりたいことに忠実であったがゆえに大成功した人物がいます。「スポティファイ」創業者のダニエル・エクです。スウェーデンのストックホルムの近くで生まれたエクは、早くに父親と離婚した母親に女手一つで育てられました。
ビージーズやダイアナ・ロスが好きな母親の影響でエクもギターを弾き始め、やがてビートルズなども弾くようになったばかりか、ドラムやベース、ピアノやアコーディオンも習うようになり、地域のバンドを二つ掛け持ちするほどの音楽好きでした。
そんなエクが音楽と同じように興味を持ったのが、5歳の時に母親に買ってもらった中古のパソコンです。その後、母親が再婚した義父から新しいパソコンをプレゼントされたエクはさらに夢中になり、9歳の時には既にプログラミングを始め、11歳の時には「ビル・ゲイツよりビッグになる」と周囲に話す早熟な少年でした。