「非情な首切りを考えている企業なんて、一部の特殊な企業だけだろう」こう考えているビジネスマンに、いま警鐘が鳴り響いている。みらいワークスの岡本祥治氏は「多くの企業では、『戦力にならない中高年社員は、外の世界を見てもらい、他に稼げる場所を見つけてほしい』と、切に願っている。生涯を1社だけに捧げるリスクは想像以上に大きい」という――。

※本稿は、岡本祥治『LIFE WORK DESIGN』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

うつ病の男
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人生を会社に縛られていないか?

「新卒で入社した会社で、定年まで勤めあげる」
「定年後は、夢の引退生活を送る」
「老後は、そこそこ豊かな年金生活が待っている」

こんな当たり前だった日本人の「働き方」は、もはや、存在しません。

「45歳を過ぎたら早期退職をほのめかされる」
「70歳以降も働かないと、貧乏生活が待っている」
「出世コースを外れる人間は、定年まで会社に残れない」

ちょっとにわかには想像しがたい(したくない)でしょうが、残念ながらこれはディストピア小説の設定ではありません。私たち日本人を待ち受ける、極めて現実に近い未来予想図です。

昭和の「働き方」や「雇用」は、もはや持続可能ではなくなりました。日本企業の多くが日本型「終身雇用制度」から、欧米型「ジョブ型雇用」へと舵を切り始めています。昔は企業が社員とその家族の生活を保障してきましたが、もはや社員全員の面倒を見ることは不可能になってきています。しかも現代は「人生100年」と呼ばれる時代です。伸びた寿命分の生活費を賄い、QOL(Quality of Life)を維持するのは、容易ではありません。

「老後の資金2000万円」問題が耳目を騒がせたのはつい数年前のことですが、この問題はいまだ根本的な解決を見ていません。私たちは「人生100年時代」のライフマネーを、自らの手で稼ぎ続けなくてはならないのです。

現在20~40代の会社員は、「一生のうちに何度も転職をする」「働きながらリスキリングを重ねて、新領域にチャレンジしていく」努力が、求められていくことでしょう。