80歳に差し掛かってもハリソン・フォードが元気な理由
ハリソンは自分の健康に強い関心をもち、努力をしている。70代後半だが、自転車や馬に乗ったり大好きなテニスをしたりと、活動的でアウトドアな生活を送る。毎日身体を動かすと生き生きと健康でいられるそうだ。年齢を問わず誰もがこの言葉に刺激を受けるだろう。
成熟には知識が欠かせない。ハリソンのように、人は年をとるにしたがって、自分の限界への理解が深まっていく。自分の身体に何ができるのか、何が合わないのかを見極めたい。
子どものころからインディ・ジョーンズの映画が大好きだった私からすると、鞭をぴしゃりと打ち鳴らすのに必要な動きについて、ハリソン・フォードとジムで話しているのは現実とは思えない瞬間だった。
子どものころ『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』を観ていて縮みあがるほど怖かったのを覚えている。特に、聖櫃が開き、結末に向かうシーンが恐ろしかった。インディ・ジョーンズの映画はすべて名作だ。そして、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』公開から40年後、インディ・ジョーンズのシリーズ5作目のためにハリソン・フォードのトレーニングを見る仕事が私にきた。
CGがない時代に『インディ・ジョーンズ』を生身で演じた
ハリソンは熱心なテニスプレイヤーでもあるので、私が考えたトレーニングをすると、動きがなめらかになりサーブもうまくなると聞いて喜んでいた。私はこう伝えた。「サーブが上達すれば、インディのように鞭が打てますよ。かなり似た動作ですから」
過去のインディ・ジョーンズ作品を観ると、ハリソンは1980年代に本格的なアクションシーンを演じていた。当時はCG技術がいまほど発達していなかったから、ハリソンはスタントの大半を実際に、生身で演じきっていたのだ。
彼はたくさんの戦闘シーンで何度となく走り、ジャンプし、ぶら下がっていた。主演男優にとって、インディ・ジョーンズのシリーズは007シリーズ並みに容赦のない撮影になる。ほとんどすべてのシーンに出番があるから、休んでいる暇などない。