※本稿は、池谷敏郎『完全版 最速で内臓脂肪を落とし、血管年齢が20歳若返る生き方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
血管年齢=動脈硬化度
本来、私たち人間の血管の壁はしなやかであり、内面(内膜)はなめらかで、その内腔を血液がサラサラ流れるような仕組みになっています。
ところが、加齢とともに「動脈硬化」が進むと、次第にしなやかさが失われて、内面には「プラーク」と呼ばれる瘤が生じるようになります。
こうして血管は加齢とともに生理的に老化していきます。そして、生活習慣病や喫煙、不眠等のストレスなどによって、老化のスピードはさらに早まってしまいます。
よく「血管年齢」といわれますが、これは、「血管が何歳相当に硬くなったか」を表す指標で、「動脈硬化度」を表しています。
血管年齢は、指先や手足に取り付けたセンサーを用いて、ドックンドックンと拍動する脈の形や、その波が血管壁を伝わる速さを分析することで推定され、健康であれば実年齢とほぼ一致します。
ところが、動脈硬化が加齢にともなう生理的範囲を超えて進行している場合、実年齢が20~30歳でも、血管年齢は50~60歳に老化してしまうことがあります。
若いのに老けて見える人は、血管の老化の可能性…
血管の老化は、体内に37兆個あるとされる細胞への血液循環の不良を意味し、皮膚への血流の悪さは外見上の老いた印象の一因となります。
逆に、血管年齢を若く保つことができれば、見た目の若返りとともに、全身の臓器の機能も良好に維持することが可能となるのです。
また、血管の硬さ(血管年齢)は、自律神経(交感神経・副交感神経)の影響を受けています。緊張や睡眠不足、ストレスなどにさらされると、交感神経が優位に働いて血管が収縮して血圧が上昇します。
このとき血管壁は硬くなるので、血管年齢は老化していると推定されますが、末梢の血管が収縮することで毛細血管の血流は減少します。
動脈硬化によって血管壁そのものが硬化した場合と同じように、交感神経の緊張に伴う血管の収縮もまた、血管年齢の老化とともに末梢の血流を悪化させる要因となります。