血管の若さが健康度を示す
私はこれまで、「見た目」や「若返り」の重要性をみなさんにお伝えしてきましたが、それは、「見た目」が体内の「血管」の状態を映しているからです。
私たち人間の体の中には、全身にわたって血管が張りめぐらされています。全身の血管の様子は、桜の木を思い浮かべるとイメージしやすいと思います。
人間の体の中心には、桜の木の幹に相当する太い「大動脈」が縦に走っています。そして、桜の木の枝が大きく広がって伸びるように、手足へと枝分かれしているのが末梢の「中・小動脈」、末端の花や葉の部分に相当するのが「毛細血管」です。これらの血管はすべて、一本でつながっています。
血管の中の血液の流れは、主に血管の収縮と拡張によって調節されています。
大動脈は心臓から送り込まれた血液をしなやかに広がって受け止めたあと、今度は収縮しながら血液を中・小の末梢の血管へ押し流していく働きをしています。これによって、食事で摂った栄養や呼吸で取り入れた酸素が血液に乗って体の隅々まで送られ、私たちは健康で見た目も若々しくいられます。
「若々しい血管」「老化した血管」を分けるもの
では、年をとっても若々しい血管と、若くても老化が進んでしまった血管との違いはどこにあるのでしょうか。
血管は加齢とともにゆっくりと老化します。それによって動脈硬化が進むと、血管のしなやかさが失われて内腔が狭くなるため、末梢への血流が悪くなります。
また、血管の働きは、大動脈などの一部の太い血管を除いて、自律神経によって無意識のうちにコントロールされています。中・小の末梢の動脈には、自律神経が張りめぐらされているのです。
自律神経には、リラックスしたり体温が高くなったときに優位になる「副交感神経」と、ストレスがかかったり体温が低下したときに働く「交感神経」があります。副交感神経には中・小の末梢血管を拡張する働きが、交感神経には収縮させる働きがあり、状況に応じて血圧や末梢への血流を調整しています。
つまり、交感神経が優位になる環境(ストレス環境)もまた、血管を収縮させ、血流を悪くしてしまうのです。