ウディ・ハレルソンから逆に教えられた身体づくりの知識

ハリソン・フォード、ウディ・ハレルソン、ドニー・イェンといった年配の俳優とトレーニングするすばらしい点は、たくさんのことを学べるところだ。私は指導すると同時に、彼らは気づいていないかもしれないが、彼らから教わってもいる。

ハレルソンのように何十年も映画業界に携わっている人は、身体づくりの専門家に囲まれている。トレーニングの最中に彼と話していると、何十年もの経験が数分に凝縮された意見を聞いているように感じた。ハレルソンからは反対意見もぶつけられたが、私はそこから断片的な情報を集めて、別のクライアントに役立てた。トレーナーとしては、そのように互いに影響を与え合うと知識が深まり、業界で代わりの利かない存在になれる。

年配の俳優は自分の好き嫌いを熟知している。あなたも時間をかけて身体の声を聞き、どんなものが自分に合っているかを知ることだ。

ドニー・イェンの演技を支える身体リカバリーへのこだわり

50歳では、21歳と同じように回復はしない。そんなことは生理学的にありえない。かつてのように筋組織をつくれないし、昔のようには動けない。そのころほど効率のよい身体ではないのだ。同じ基準の回復を助ける物質や同じ量の化学物質を生成しない。

年相応のトレーニングをするのと同じように、年齢にふさわしいリカバリーをしなくてはならない。若いときからリカバリーに時間をかける習慣を身につけるのが理想だ。そうすると、身体のプログラムに刻みこまれ、それが生活のなかで自然だと考えられるようになる。

ドニー・イェンは以前からサポーターなしでスタントを行ってきた。武術の達人として尊敬を集め、見事な肉体をもち、高い身体能力を有し、矜持ももっている。

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』で彼と仕事をしたときに学んだのだが、ドニーの特徴は、そのリカバリーに対する姿勢と、しっかりと身体を癒し回復させるやり方にある。ドニーはいまでも見事な身体を保っている一方で、年をとったら同じことは続けられないことを心得て、回復の方法を調整している。