なぜ美容室はなかなか潰れないのか?
一方で、原価率が低ければ、お店は意外としぶとく生き残るものです。
例えば、美容室。吉祥寺に限らず、人気の街に行っても、駅前やショッピングモールの良いロケーションに美容室が入っていますね。
美容室というのは、1人のお客さんをカットするのにどうしても1〜2時間はかかりますから、いくら流行っているお店であっても、1日に稼げる売上には限界があります。それにもかかわらず、なぜ立地の良い、高い家賃の店舗を借りてやっていけるのか、不思議に思いませんか?
私のサーフィン仲間に美容師がいて、その彼が独立してお店を出すことになったので、話を聞いてみたことがあります。その秘密は、やはり原価率でした。
美容室は店を借りたり内装工事をしたり、初期費用はそこそこかかりますが、オープンさえしてしまえば原価がほとんどかかりません。仕入れるのはシャンプーやトリートメント、パーマ液やパーマ用のロッドといった消耗品ぐらいで、固定費は家賃、水道代、電気代だけです。
しかも美容室というのは、いったんお客さんに気に入ってもらえれば、定期的にずっと通ってくれる常連さんになってもらえますから、そうした常連さんを一定数確保できれば集客コストもそれほどかけなくて済みます。
このような原価率の低さこそが、一等地でお店を維持できる秘密だったのです。
安定性を求めるなら原価率が低い業種がお薦め
私が就職するにあたり不動産仲介業を選んだ理由の1つも、実は原価率でした。
そもそもフリーターを辞め正社員として就職するのは、安定した仕事に就くためです。そのためには、維持しやすい=原価率が低いビジネスを選んだ方が良いに決まっています。
その点でも、不動産仲介業という仕事は優秀でした。不動産を売りたい人と買いたい人を仲介して、成約した物件に対して手数料をもらうというビジネスですから、物件を仕入れる必要はありません。つまり、ほとんど原価がかからないのです。
ちなみに不動産仲介業に限らず、ものを売って利益を出しているのではなく、いわゆるサービスに対価を払ってもらっている仕事は、基本的に原価率が低い傾向があります。
仕事を選ぶ基準は人によっていろいろ違うとは思いますが、いずれにせよサラリーマンとして就職したいのであれば、ある程度の安定性を求めたい人がほとんどなのではないでしょうか?
原価構造というのは業界ごとに意外と違うものですから、そうした視点から仕事を選んでみるのもいいと思います。