エリザベス女王の墓には、多くの若者が参列に訪れて
何度も言うが、戴冠式の主人公は国王夫妻だが、どうにも影が薄い。
翌日はイギリス全土の英国国教会の教会で、国王の戴冠を祝う礼拝が各地で開催されたが、筆者が参加した教会は人がまばらで寂しい。どれだけ新国王がダイバーシティやジェンダー平等を訴えても、君主制は時代遅れの古臭いものなのか。
しかし、他日、ウィンザー城内の聖ジョージ礼拝堂に行ったところ、若い年代の人も大勢訪れ、エリザベス女王の墓に祈りを捧げている人が多かった。前述の通り、まだ国民の気分は女王の治世。新しい国王の魅力がちゃんと認知されていないのだ。
戴冠式でも君主の長寿を願っていたが、74歳のチャールズ国王の場合、エリザベス女王ほどの長い治世は望めないだろう。となると、国王の役目は、世の中のニーズをくみ取り、王室が絶えることがないように努め、無事にウィリアム皇太子に王位をバトンタッチすること。“中継ぎ投手”のような存在であることは否めない。
チャールズに会った人は皆ファンになる
それでも、90歳過ぎて矍鑠とした姿を見せていれば、エリザベス女王のようなカリスマ性や求心力を発揮するかもしれない。
「国王をはじめ、王族は多くの公務をこなし、国民と直に触れ合うことで、王室の存在をアピールしてきました。国王は“気難しくて偏屈なチャールズ”と思われていますが、実際に彼に会った人は皆ファンになっています。君主は人気商売ではないものの、人間的魅力は大事です」(前出・塩田さん)
長い長い皇太子の時期を経て、やっと国王になったチャールズ3世だが、君主としての真価が問われるのは、まだまだ先のことになりそうだ。