天皇皇后両陛下が6月下旬、国賓としてイギリスを公式訪問した。評論家の八幡和郎さんは「半世紀以上続いている日英君主の相互訪問で、日本の天皇陛下が6回訪英している一方、イギリス国王(女王)の訪日はたったの1回と、不均衡な状態だ。日本の皇室が英国の王室にすり寄っている印象なのはよろしくない」という――。
待望のオックスフォード訪問が実現
天皇皇后両陛下が6月22日から28日まで英国を訪問された。そのうち、25日から27日の3日間は国賓訪問だった。
雅子皇后陛下の体調が心配だったが、ゆったりした予定が組まれたことで、予定された日程は大過なくこなすことができた。
陛下は、留学記『テムズとともに』(紀伊國屋書店)が昨年復刊された際、「遠くない将来、同じオックスフォード大学で学んだ雅子とともに、イギリスの地を再び訪れることができることを願っている」と書かれ、イギリス出発前にも同様の趣旨のことをおっしゃっていた。
最終日にはそのご要望が実現し、両陛下にとって懐かしいオックスフォード大学を訪問されるなどリラックスした時間を過ごされ、お慶びだった。
天皇陛下としての訪英が5回続いている
この訪問が「新日英同盟」といわれるほど緊密の度を深めている両国関係や、東西世界を代表する天皇と国王の友情を深化させ絆を深めたとしたら、心強いことである。
ただ、1975年のエリザベス女王のたった1回の訪日の後、日本の天皇陛下(平成年間の上皇陛下の訪英を含む)が5回連続して訪英するという現在の状況は普通では考えにくい。ほかの国の君主は、むしろ日本が受け入れることのほうが多いのと好対照になっている。