1週間も滞在されたが、内容は薄かった
また、今回は、チャールズ国王、キャサリン皇太子妃、雅子さまの体調面の不安があり、しかも、英国は総選挙の期間だったので、1週間という長い滞在にもかかわらず、内容は薄く、現地の報道でも主要ニュースとしては取り上げられなかった。
私は、『英国王室と日本人 華麗なるロイヤルファミリーの物語』(小学館、篠塚隆と共著)という本で日英国際親善の歴史を解説しているが、これまでの皇室外交と比べたとき、いささか内容が希薄で多くの課題を残したと考える。
たとえば、訪英中にランチやディナーの機会は12回あったが、両陛下での参加は国王ご夫妻との内輪の会と公式晩餐会、それに、オックスフォード大学総長との昼食のみ。ほかに陛下単独で歴史的な金融地区であるシティ・オブ・ロンドンで開かれた晩餐会への出席が1回あったものの、8回はホテルで両陛下など身内ですまされた。
雅子さまは4日目の国賓訪問から表舞台に
日程については、雅子さまの体調管理が最優先で、最重要な行事だけ雅子さまが確実に参加できるよう万全の配慮がされた。
まず、上皇陛下ご夫妻への事前のご挨拶は、昨年のインドネシア訪問のときに負担になったとのことで割愛されたようだ。
英国には、国賓訪問開始より3日前に到着されたので、1971年の昭和天皇訪英時に、レッドカーペットを敷いてマーガレット王女が出迎えたような行事はなかった。長期滞在だったためかバッキンガム宮殿でなく、市中のホテルに宿泊された、
2日目に陛下は、日本の文化発信拠点である「ジャパン・ハウス」視察や、在留邦人や日本とゆかりのある英国人と交流され、雅子さまはホテルで休養。
3日目、陛下はテムズ川の防潮施設視察と日英友好団体主催のレセプション出席で、雅子さまはこの日も休養。
4日目に国賓訪問が始まり、ホテルに迎えに来たウィリアム皇太子とホース・ガーズ・パレードに向かわれた。
歓迎式典の後、バッキンガム宮殿までの花道「ザ・マル」をオープンエアの馬車でパレードされたが、馬アレルギーの雅子さまは大きな白マスクをしたままでお顔が拝見できず、沿道の人々を失望させた。事前に分かっている話なのだからカミラ王妃と雅子さまには、屋根のある馬車を用意し、それを予告しておくべきだったのではないか。