午後から天皇陛下のみで訪問される日も

バッキンガム宮殿では午餐会が開かれ、国王から陛下に最高位のガーター勲章が授与された。外国人では欧州のキングと非キリスト教圏のエンペラーに与えられる。

午後にはウェストミンスター寺院を訪れ、無名戦士の墓に献花された。晩餐会には、選挙中のスナク首相と、次期首相と噂されるスターマー労働党党首も列席した。

5日目は、雅子さまはホテルで休養され、陛下はバイオメディカル研究所、王立音楽大学を訪問され、ロード・メイヤー及びシティ・オブ・ロンドン主催の晩餐会に出席された。

6日目、両陛下は国王夫妻にお別れの挨拶の後、子ども博物館を視察され、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの舞台「となりのトトロ」を鑑賞された。午後は陛下のみウィンザー城でエリザベス女王夫妻の墓参をされ、植物園に立ち寄られた。

7日目は両陛下でオックスフォード大学を訪問され、雅子さまは名誉法学博士号を授与されるなどのイベントをこなされ、そのまま帰国のため空軍基地に向かわれた。

【図表2】天皇皇后両陛下の訪英中の動静
在英国日本国大使館HPより編集部作成

王室も首相も歓迎できる時期ではなかった

1998年の天皇皇后両陛下(現在の上皇陛下ご夫妻)の国賓訪問時は、両陛下が一緒に動かれたときには、「ウェストミンスター市歓迎式典」「女王陛下及び王配殿下主催晩餐会」「ウェールズ大臣主催午餐会」「ロンドン市長主催晩餐会」「首相夫妻主催午餐会」「天皇皇后両陛下主催晩餐会」「日英関係4団体共催レセプション」と、重要な午餐会・晩餐会が連日のように組まれていた。

今回は当初、英首相主催の食事会が予告されていたが、選挙で多忙を理由にキャンセルされた。中国の習近平国家主席や韓国の尹錫悦大統領の訪英のときは、議会での演説もあったがそれもなかった。

また、キャサリン妃は、6月17日の国王公式誕生日には出席していたが、残念ながら天皇皇后両陛下の歓迎行事は欠席し、国王の姉のアン王女も直前に馬との接触事故があり、欠席された。

このように振り返ると、やはりこんな時期に強行すべきであったかは疑問だ。チャールズ国王のお見舞いなら、欧州のほかの国を訪問されてその帰路に立ち寄られるという方法もあったように思う。常識的には、天皇陛下のご在位中に国賓訪問する機会はもうないのだからもったいなかった。