なぜイギリス国王が訪日しないのか
もうひとつの疑問は、順番からいってチャールズ国王が訪日するべきだったことだ。日英君主の相互訪問は、1971年に昭和天皇が訪英され、1985年にエリザベス女王が訪日されたのが始まりである。
しかし、平成年間には、両陛下が1998年、2007年、2012年と3回連続訪英されたが、エリザベス女王は一度も訪日されなかった。
女王は英連邦諸国は別にしても、米国、フランス、ドイツなどには複数回訪問されており、タイやネパールも2回だ。
もっとも、最晩年の女王は外遊されてなかったから、2019年に今上陛下が即位された後、英国を訪問するように招待され、これを陛下が受けられたのは仕方がないことだったかもしれない。しかし、女王が2022年に死去され、葬儀に両陛下が参列されたのだから、次はチャールズ国王が来るべき番だ。
日本の皇室が英国王室にすり寄っている印象
2023年のチャールズ国王戴冠式に両陛下は招かれたが、昭和天皇の葬儀や今上陛下の即位礼にも女王がお見えになっていないのだから出席されず、秋篠宮皇嗣殿下ご夫妻が参列された。このときに、両陛下が行くべきだという巷の声があったが、皇室の尊厳からいってありえなかったと思う。
このように順番だとか扱いをうるさく指摘するのは、馬鹿げていると思う人もいるだろうが、少なくともエリザベス女王はそういうことに非常に敏感で、失礼な扱いを受けたと思ったら、かなり手厳しい報復をする怖い女王だった。
すでに新国王は主要国の訪問を挙行されており、フランスやドイツ訪問は大きなニュースになっていた。私は非常な歓待をすることを約束してチャールズ国王夫妻をお招きし、その後、両陛下が訪英して同等の扱いをしてもらうことが、両国間の関係を良い方向で高みに上げる方策だと提案してきた。
いずれにせよ、日本の皇室が英国の王室にすり寄っている印象なのはよろしくない。一方、皇族が英国に留学したりしても、あちらの貴族社会になじんでおられる風でもない。雅子さまのご体調を前提にすればいかなる日程が好ましいのかとか、今後の悠仁さまの留学も含めて、皇室外交について戦略の立て直しが必要だ。