宮内庁が4月1日に公式インスタグラムを開始し、天皇皇后両陛下の公務などを発信している。宮内庁がSNSで情報発信するのは初めてで、フォロワー数は2カ月で140万人を超えた。関東学院大学の君塚直隆教授は「相当の関心を集めてはいるが、残念ながら天皇や皇族の活動に関心のない国民が多い。宮内庁には、このままでは皇室が存続できないという危機感があるのだろう」という――。
静養で御料牧場に到着し、出迎えを受けられる天皇、皇后両陛下と長女愛子さま=2024年5月2日、栃木県高根沢町[代表撮影]
写真=時事通信フォト
静養で御料牧場に到着し、出迎えを受けられる天皇、皇后両陛下と長女愛子さま=2024年5月2日、栃木県高根沢町[代表撮影]

開設から2カ月で140万人超がフォロー

2019年3月7日、ロンドンにある科学史博物館を訪れたある老婦人が、最新のSNS機器である「インスタグラム」を解説したコーナーに立ち寄り、おもむろに自身のアカウントに入力し始めた。

「いま科学史博物館にきてこの一文を入力しています」。この老婦人こそ誰あろう、ときの君主エリザベス2世女王そのひとである。当時92歳であった。

それから5年の月日が経ち、日本の皇室もようやく2024年4月1日からインスタグラムに参入し、日々の天皇・皇族のご活動を最新の画像やときには映像も交えて配信している。開設から2カ月ほどでフォロワーは140万人を超えるにいたった(2024年5月30日時点)。

エリザベス女王がSNSに積極的になった理由

SNSを積極的に活用し始めた王室はエリザベス女王のイギリスであった。

きっかけのひとつは「ダイアナ事件」(1997年)である。1996年に当時のチャールズ皇太子(現国王)と離婚したダイアナ妃が、翌年夏に交通事故死に遭い、国民の多くが悲嘆に暮れるなか、女王はなかなか哀悼の意を示さず、沈黙を守り続けていた。

この態度に国民から怒りが沸き起こり、女王はテレビ演説もおこない、葬儀にも出席して、国民からの怒りも静まるが、その後しばらくは王室の支持率は珍しく急降下をたどった。