平皿の上の芸術・盛り付けを愛でる
フランス料理は、平皿の上に描かれた芸術作品といってもいいくらい、盛り付けの美しい料理です。
料理が運ばれてきたら、まず、そんな盛り付けを目で存分に楽しみましょう。ただし、テーブルに置かれた平皿を上から眺めるだけです。決して、平皿をうやうやしく持ち上げて眺めたりしないでください。
格式のあるお店では見ませんが、ボウル状の小器でサラダが出されたときなども、ついお茶碗と同じ感覚で持ち上げたくなるかもしれません。でも、西洋料理は器を持ち上げて食べません。
持ち上げていいのは、ワイングラス、コーヒーカップ、ティーカップといった飲みものの容器だけと心得ておきましょう。また、料理の器でも、例外としてスープが取っ手のついたカップで出された場合は、持ち上げてかまいません。
ソースを余らせないよう、計算しながら食べる
フランス料理は「ソースを楽しむ料理」ともいわれます。まさしく料理ごとに趣向を凝らしたソースは、肉や魚の単なる引き立て役ではありません。ソースには、そのお店の思想や哲学が表れているといっても過言ではないのです。
それだけに、ソースを堪能するのも、フランス料理のマナーの1つです。
ここでも重要なのは「戦略」です。肉や魚を食べ終えたときにソースがたっぷり残っていた……ということにならないよう、お皿の全体を見渡し、ソースの量を勘定に入れつつ、一切れごとに絡めながら食べていきましょう。
ただ、その一点に集中するあまり、会話がおろそかにならないよう注意してください。