※本稿は、小倉朋子『世界のビジネスエリートが身につけている教養としてのテーブルマナー』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
ワイングラスは右手で持って、アゴを連動させてはいけない
ワインを注いでもらうときは、必ず、ワイングラスはテーブルに置いたままです。
和食の席でビールや日本酒を注いでもらうときは、「ありがとうございます」の気持ちで盃やグラスを持ち上げますね。お店の人が注いでくれる場合もありますが、和食の文化では自分たちで「差しつ差されつ」というのが主流です。
しかしフランス料理は違います。「サーブする側」「サーブされる側」という階級のもと、マナーが確立されました。ワインを注いでもらうときに、こちらからワイングラスを持ち上げるような真似はしません。
階級というと旧時代的に思えるかもしれませんが、古来、先人たちが確立してきたマナーは、今もこうして守られているというわけです。
ちなみに、ワイングラスは香りや味わいの特徴によって使い分けますが、ソムリエの判断で適切なグラスに注がれるので、お任せして大丈夫です。
ただ注がれるままに飲むよりは、どういうワインだとどのグラスに注がれるのかを観察したり、ソムリエに聞いてみたりすると、食の楽しみがいっそう広がるでしょう。
ワイングラスの持ち方は、2種類あります。
①ボウル下部(丸い部分)を指先で支え、軽く包み込むようにする
②ステム(脚の部分)を親指、人差し指、中指で軽くつまみ、ほかの指は軽く添える
世界的には一般的なのは①です。
日本では、②の持ち方を正しいと感じている人も多いのですが、実は、各国の国賓クラスの方々の晩餐会は①が主流です。
ワインを飲むとき、ワイングラスを傾けるのと同時にアゴも一緒にグイーッと上げてしまうと、ワインを呷って飲み干しているような、はしたない印象になります。
アゴを連動させなくとも、グラスを傾ければ最後まで飲めます。せいぜい顔が少し上を向くくらいで、「傾けるのはワイングラスだけ」と心得ておきましょう。