世界的に共通するワインのマナーは何か。フードプロデューサーの小倉朋子さんは「ワインの乾杯ではグラスをカチンと合わせず、ニッコリ笑って自分の胸の高さくらいまで軽く持ち上げるのが正式だ。しかし、グラスを鳴らそうとしてくる相手がいたら、それを頑なに拒否するのは無粋である」という――。

※本稿は、小倉朋子『世界のビジネスエリートが身につけている教養としてのテーブルマナー』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

ワイングラス
写真=iStock.com/rattodisabina
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ワイングラスは右手で持って、アゴを連動させてはいけない

ワインを注いでもらうときは、必ず、ワイングラスはテーブルに置いたままです。

和食の席でビールや日本酒を注いでもらうときは、「ありがとうございます」の気持ちで盃やグラスを持ち上げますね。お店の人が注いでくれる場合もありますが、和食の文化では自分たちで「差しつ差されつ」というのが主流です。

しかしフランス料理は違います。「サーブする側」「サーブされる側」という階級のもと、マナーが確立されました。ワインを注いでもらうときに、こちらからワイングラスを持ち上げるような真似はしません。

階級というと旧時代的に思えるかもしれませんが、古来、先人たちが確立してきたマナーは、今もこうして守られているというわけです。

ちなみに、ワイングラスは香りや味わいの特徴によって使い分けますが、ソムリエの判断で適切なグラスに注がれるので、お任せして大丈夫です。

ただ注がれるままに飲むよりは、どういうワインだとどのグラスに注がれるのかを観察したり、ソムリエに聞いてみたりすると、食の楽しみがいっそう広がるでしょう。

ワイングラスの持ち方は、2種類あります。

①ボウル下部(丸い部分)を指先で支え、軽く包み込むようにする
②ステム(脚の部分)を親指、人差し指、中指で軽くつまみ、ほかの指は軽く添える

世界的には一般的なのは①です。

日本では、②の持ち方を正しいと感じている人も多いのですが、実は、各国の国賓クラスの方々の晩餐会は①が主流です。

ワインを飲むとき、ワイングラスを傾けるのと同時にアゴも一緒にグイーッと上げてしまうと、ワインを呷って飲み干しているような、はしたない印象になります。

アゴを連動させなくとも、グラスを傾ければ最後まで飲めます。せいぜい顔が少し上を向くくらいで、「傾けるのはワイングラスだけ」と心得ておきましょう。