テレビ局が「共犯者」として叩かれる未来
つまり、今の段階では「創業者の個人犯罪」ということなので、ジャニーズタレントは当たり前のようにテレビ番組やCMに起用されているが、海外報道をきっかけに「組織ぐるみ」という疑惑が持ち上がり、国際的な批判を嫌がったトヨタのようなグローバル企業が、ジャニーズの広告起用を停止すると宣言したら……。
香川さんのような「追放」になるとは考えにくいが、ジャニーズ帝国にとってはこれまで経験したことがない、「逆風」が吹くのは間違いない。
そうなると当然、「事実関係がわからないのでコメントを差し控える」なんてモゴモゴ言って揉み消す気マンマンだった民放テレビ局も「共犯者」扱いされてボロカスだろう。
ましてや、自分たちが長年、利益を得てきた日本のショービジネス界の「タブー」を、海外テレビ局の調査報道によって世界中に晒されてしまったわけなのだから、同じテレビ局としてこんなに恥ずかしいことはない。また、「日本には報道の自由がない」という現実を世界に示してしまったという点でも、国民の信用はガタ落ちだろう。
いつまで「報道しない自由」を行使するのか
国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)が毎年公表している「報道の自由度ランキング」で、日本は調査対象の180カ国・地域のうち68位で、G7の中でダントツの最下位だ。
この毎度おなじみの情けない評価について、日本のマスコミは「安倍政権の恐怖政治で現場の記者が萎縮している」「一部のジャーナリストが海外で日本の報道環境を不当に貶めている」なんて訴えて、「誰かのせい」にするのがお約束だ。
しかし、今回の民放テレビ局の対応を見る限り、「自分たちの商売の足を引っ張るような話はお口にチャック」という感じで、勝手に権力者に忖度して「報道自粛」をしているからではないか、と勘繰ってしまう。
いずれにせよ、報道機関を名乗りながら、自社のビジネスのためには「報道しない自由」を行使する民放テレビ局の危機管理は、かなりヤバい窮地へと追いやられている。
海外メディアの続報が出て国民にそっぽを向かれる前に、報道機関らしいことをしておくか。あるいは、ジャニーズ事務所と心中する勢いで、このスキャンダルを全力で握り潰すか。
これまでの経緯からは後者のような気もしなくないが、放送人たちの「最後の良心」に期待したい。