再追及の端緒となるのは「組織の関与」

今回の問題も同じだ。先ほど火付け役はBBCだと書いたが、彼らの取材は1999年からこの問題を報じている「週刊文春」の全面協力の下で進められたものだ。そして、毎度お馴染みのようにマスコミはスルーした。

いつもと同じパターンということは、いつもと同じ結末になる可能性が高い。つまり、今は「鎮火」したように見えるが、海外メディアが再び厳しい追及を始めたら、いつものように風向きが変わって、国内マスコミも大騒ぎをする可能性があるということだ。

では、どのような厳しい追及になるのか。それが2つ目のリスクである「組織ぐるみ疑惑」だ。

人事ピラミッド
写真=iStock.com/tadamichi
※写真はイメージです

現在、ジャニーズ事務所は、告発を真摯しんしに受け止めるという声明を出しているが、ジャニー喜多川氏がすでに鬼籍に入っているということで真相解明が困難だとしている。死人に口なしではないが、真相は藪の中なので最悪、ジャニー喜多川氏の「個人犯罪」ということでどうにか逃げ切ろうとしている、ように見えてしまう。

事務所の人間たちは性加害を知っていたのか

ただ、冷静に考えるとこれはかなり苦しい。BBCのドキュメンタリーや文春に登場する告発者たちによれば、ジャニー喜多川氏の自宅である高級マンションで、彼らと同様のことをされた被害者は100人をくだらないという。

多い時は十数人も宿泊することがあったという、この高級マンションに住民から不審がられることなく、未成年の少年たちが出入りするとなると、ジャニー氏だけでは難しい。車での送迎など事務所の人間のサポートが必要だ。

また、先ほども申し上げたようにジャニー氏の「疑惑」は少なくとも20年以上前から報じられている。だから、今回告発した男性たちも「噂に聞いていたけれど、本当にあるんだと驚いた」というようなことを言っている。

このような“公然の秘密”ならば当然、事務所は察知していたはずだが、被害は近年まで続いていた。ということは、見て見ぬふりをしていたか、「容認」していたのではないか、という疑惑は当然あって然るべしだろう。

実際、BBCのドキュメンタリーに登場した被害者は、周囲から「ジャニーさんに従わなければ、ステージでの立ち位置が悪くなるよ」と言われたと証言している。つまり、事務所内ではアイドルデビューするための一種の「通過儀礼」のように捉えられていた可能性もあるのだ。