惜しくても心を鬼にして、ためらいなく捨てていく

②「余計なモノ」を捨てる

中高年になったら、どんどんモノがたまります。

特に都心で暮らそうとすると、広い住居は望めません。年を取ると、狭くても便利な場所。狭くても便利な住居。いろいろなところに通うのに、便利な場所で暮らしていく。都心回帰の傾向が中高年になればなるほど高まってくるのも、よくわかります。将来のことを見据え、大きな家を処分して都心に住み替える方も少なくありません。

子どもを育てている時は大きな家がよかったけれども、夫婦だけだと、あるいは単身だと、広い家は掃除をするのに大変なだけ。狭くても便利な都心の、移動が便利な場所に住みたいというニーズが高まってくるわけです。

そうなってくると、部屋は狭くなります。ますますモノを置く場所がなくなって、さて「こんまりするか」となるわけです。

私は学者ですから、書籍が多いんですね。しかし、研究室は残念ながらそんなに広くないです。だから書籍も選んで捨てていく。多少惜しい気持ちになっても「これは要らない」と思ったものは、心を鬼にして、ためらいなく捨てていくことが重要です。

退職したら終わる関係はそろそろ整理する

③「余計な人間関係」を捨てる

人間関係ですごく気を使っている、時間もエネルギーもすごく使っているという人が多いです。親戚関係。家族の関係。仕事関係。ボランティアでの関係。いろんなお付き合いがありますね。お付き合いに時間もエネルギーもすごく使ってしまっている。そんな人は、人間関係を整理する。人間関係を「こんまり」する。それが重要になってきます。

つまり、ときめかない人間関係は捨てていく。モノを処分するのと同じように、人間関係も処分していったほうがいい。

とりわけ、50代のうちに、自らの意思で人間関係を整理しておくことが大事です。60歳を過ぎると、死別や退職などで、望んでいなくても少しずつ人間関係が切れていきます。人がどんどん死んでいく。

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退職すると仕事上の付き合いだった人と、関係が完全に切れます。選ぶ・選ばないに関わりなく、自分の選択に関わりなく、だんだん孤独になっていく。精神的なショックも少なくありません。

「退職した後も続ける人間関係」と「退職したら終わってしまう人間関係」とを区別して、退職したら終わる関係はそろそろ整理していくのも重要です。

面倒な付き合いを避ける。1人で過ごせるような人間になることが、ますます必要になってくる。「孤独力」が重要になってきます。

惰性で続けている人間関係は整理する、カットするということをそろそろしていったほうがいいと思います。

たとえば、人間関係が大きなウエイトを占めている仕事をしている人には、「名刺が1万枚集まりました」というのを大きな喜びにしている人もいますね。人間関係、人脈が自分の大きな財産、リソースだというわけです。けれども、仕事を辞めてしまった後は、名刺のほとんどが役に立ちません。

ですので、人間関係が占めるウエイトを退職に向けて徐々に減らしていくのが大事だと思います。

あくまでも仕事上の付き合いの人は、「そのうち終わる付き合い」だと割り切って付き合っていく。一方、「仕事が終わった後も大事にしたい人間関係」が占めるウエイトをそろそろ大きくしていくのです。

仕事の忙しさで気を紛らわせてきた人ほど、退職するとぽっかりと心に穴があいてしまいます。孤独を楽しんで生きることができるようになること、「孤独の達人」になっていくことが重要です。

孤独力が高い人は、自分1人で人生を楽しむことができる。自分1人でじゅうぶんに深く、豊かな時間を過ごすことができるのです。