日本人の学生とアメリカ人の学生の最大の違いは、質問をするかしないかです。

私がアメリカに留学して一番驚いたのは、学生がよく質問すること。しかも、「○○が分からないので、理由を教えてほしい」といった類の質問でなく、「あなたの説明は間違っているのではないか?」というような批判的な質問もあったことです。

日本人は、「質問をするのは自分の能力が低いためであって、恥ずかしいことだ」と思っています。しかし、そうではありません。

「良い質問」ができるかで能力は分かる

アメリカの教室でもう1つ印象的だったのは、教授が「それは良い質問だ」と、しばしば言ったことです。質問とは、問題提起なのです。実は、教授も質問によって触発されているのです。

私は、新聞や雑誌のインタビューをできるだけ受けるようにしています。なぜかといえば、「良い質問」をしてくれる場合があるからです。問題を教えてくれるからです。

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もちろん、すべてのインタビュアーが「良い質問」をしてくれるわけではありません。実に陳腐な質問しか出されない場合もあります。どんな質問をするかで、その人の能力がはっきりと分かります。

受験勉強に根本的に欠けているもの

繰り返しましょう。重要なのは「自分の頭で考えること」でなく、「疑問を抱き、質問をすること」です。

てこの原理を発見したアルキメデスは、「我に支点を与えよ。そうすれば、地球を動かしてみせよう」と言いました。これにならって、「我に疑問を与えよ。そうすれば、(地球は無理としても)かなりのものをひっくり返してみせよう」と言うことができます。

実は、受験勉強で欠けているのは、質問をする能力の訓練です。受験勉強だけをやっていると、与えられた問題を正確に解くだけになってしまいます。自分で問題を探し出してくることができないのです。これこそが大きな問題です。

受け身ではなく、能動的に勉強することが必要です。これは、解き方を覚えることと矛盾しません。