批判的に読む力が重要

OECD(経済協力開発機構)が実施しているPISAという学力テストがあります。これは、15歳の児童の学力を測定する調査です(2018年は79カ国・地域が対象)。

日本人の成績はかなり良いのですが、2018年には、読解力のテスト結果が、それまでに比べて顕著に低下しました。これは、問題の性格がこれまでとは変わったためだろうといわれています。

それまでは、出題されている例文の内容が正しいものとして、それを正確に理解できるかどうかのテストでした。しかし、2018年のテストには、異なる性格の問題が出題されました。

何人かの意見が示され、それらを批判的に読む(内容が正しいかどうかに疑問を持って読む)ことが要求されたのです。

日本人の学生は、「試験の問題に出てくる文章なら正しい内容のものだ」と決めてかかる傾向があります。したがって、疑問を持って、あるいは批判的な目で、文章を読むことに慣れていないのです。

模倣なくして創造なし

以上で述べたことは、勉強一般に関していえることです。そして、「過去にうまくいった方法に当てはめる」のが、最も強力な方法です。

しかし、こうした方法を批判する人が多くいます。「パタンに当てはめるだけでは、定型的な思考しかできない。自由に発想しないと創造はできない」と言うのです。

しかし、発想とは、無から有を生み出すことではありません。既存のアイディアを組み替えることです。まったく一から創造するということは、普通はありません。「模倣なくして創造なし」なのです。