ビジネスの問題も、「自分の頭」では解決できない
ある企業の新入社員研修プログラムの中に、「問題に突き当たったら、自分の頭で考えよ」と書いてありました。
これを書いた人は、実は、他のマニュアルにそう書いてあったことをただ書き写しただけなのだと思います。まさにこの人こそ、「自分の頭で考えていない」のです。
実務においても、「問題を解決するにはどういう方法があるのかを学び、いま直面している問題にそれを当てはめる」という方法しかありません。それによってしか、問題は解決できないのです。
大発明は新しいアイディアとはかぎらない
「自分の頭で考えよ」と言う親や先生や上司は、何も有益なアドバイスをしていません。その人たちが本来提供すべきは、「こういう事例があった。これが参考にならないか?」という情報です。
他のところで用いられている方法を借用することで大成功を収めた事例は、ビジネス史上、いくつもあります。
例えば、グーグルの検索エンジンは、検索結果を表示する順序を、200を超える基準によって判断しているといわれますが、そのうち最も重要な基準の1つは、サイトへのリンク数が多い順に検索結果を表示することです。これによって、重要なサイトを簡単に見出すことを可能にしました。これは画期的な発明であり、これがその後のグーグルの大発展の出発点になったのです。
ただし、これはまったく新しいアイディアとはいえません。これを発明したのは、当時、スタンフォード大学の学生であったラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンですが、大学院の学生であれば、引用される数によって論文の重要性を判断することは、ごく普通にやっていることだからです。