用途や提出先が様々ですので、385文字が一概に多いとは言えません。
しかし、資料を作成することが目的の資料や、「伝わる」ことではなく「伝える」ことが目的の資料が存在していたのは事実です。
385文字は情報量が多過ぎて「わかりにくい資料」と相手に判定されやすいことが分かりました。
自分で伝えたいことが多過ぎると、文字数が増えてしまいます。すべてを伝えたいと思い、情報の網羅性を高めると情報量が増え、結果的に伝わらないのです。
相手が「10秒間でパッとわかる資料」を欲しているのに、長時間かけて385文字の資料を作成しているのです。
こうした「伝える」と「伝わる」のギャップが無駄な長時間労働を生んでしまうのです。
パワポ職人が評価されないワケ
最もパワポの普及率が高い国の1つである日本では、ビジネスパーソンの約9割がパワポを使っていると言われています。
その影響もあり、過去5年間でパワポ資料の作成講座を開催し続けて受講者は2万人を超えました。
受講者は様々な機能を習得しようとしています。私は、前職のマイクロソフトでパワポの担当役員をしていたこともあり、作成してきた豪華な資料を自慢してくる強者もいます。
そのようなパワポ職人に、「その資料でどれくらいのビジネスを生み出したのですか?」と聞くと、はっきりした回答が返ってこないケースがあるのです。
五感の中で、人の記憶や心に最も影響を与えるのは視覚です。
その視覚に効果的に訴えることができるパワポが強力なツールであることは間違いありません。
しかし、資料作成の目的は「相手を思い通りに動かすこと」です。
提案したら決めてもらわないといけないですし、情報を共有したら、それをどういう時にどのように使うべきか定義されていないと活用されずに終わりです。
作成後に思い通りの結果になったのかを確認しないと、そのパワポが「すごい」かどうかの判断がつきません。
どうやって資料を完成させるかを考える前に、なぜこの作業をやっているのかを“腹落ち”することが大切です。
作業をしていること自体が目的となってしまうと、本来の目的が達成できません。豪華なパワポ資料を夜遅くまで作って、作業充実感を得てはいけないのです。
多くの機能を使い、時間をかけてパワポ資料を作っても成果につながっていなければ自己満足です。
成果を出さずに資料作成に大量の時間を費やしている社員は社内・社外で評価されません。