「忖度資料」は、8割がスルーされている
コミュニケーションがうまく取れていないチームBは、資料作成時間がチームAより25%も多いことがわかりました。
上司に対する過剰な気遣いで作成ページが増え、「今このような形で作成しているのですがイメージ合っていますか?」と気軽に話しかけられないので、結果的に「差し戻し」になることが頻発していました。
チームBでは、「必要だろう」、「重要そうな」、「気にいってくれるだろう」といった上司への気遣いで作られたページが全体の24%もありました。これを「忖度ページ」と名付けました。
衝撃的だったのは、この忖度ページのうち約8割が上司にめくられてもいなかったのです。
つまり、上司が必要としない資料を勝手に部下たちが作成し、それが残業につながっていたのです。
チームAは、「今ちょっといいですか?」という声掛けが多く、資料作成途中に上司とイメージを合わせていました。
完成イメージを上司に確認しておくことで、差し戻しが少なく作成時間が短くなっていました。
このようにコミュニケーションがうまく取れていなければ不必要な妄想が広がり、過剰な気遣いも増えます。
途中で確認することができないため、不要なページを作成する時間が長くなり、また、差し戻しによって上司と部下の双方の時間を奪うことがわかりました。
このチームAとチームBの双方が、2020年4月から半ば強制的にリモートワークへ突入しました。
一回目の緊急事態宣言が発令された2020年4月の直後にアンケートを取ったところ、チームAのメンバーは「リモートワークがうまくいっています」と回答する人が89%。
一方チームBは、たった8%。つまり92%のメンバーが「うまくいっていない」と認識していたのです。
「リモートワークだとコミュニケーションが取れない」という管理職の愚痴をよく聞きます。
しかし、調査の通り、出社しているときにコミュニケーションがうまく取れていないチームは、リモートワークでもうまくいかないというだけです。コミュニケーションの不全を勤務形態のせいにするのは、やめてもらいたいものです。
1ページが「385文字以上の資料」は、伝わらない
頑張ってPowerPoint(パワポ)資料を作ったのだけど、なかなか上手くできないとか、ついつい作成時間が長くなってしまうとお困りの方が多いかと思います。
クライアント企業の労働時間をダイエットすべく、働く時間の14%が費やされている(図表2)「資料作成」について調査しました。
826社に協力してもらい、各社で使っているパワポ資料をランダムで約5万ファイル集めました。
資料を画像に変換したり画像から文字を抽出したりする自動化ツールを使って分析したところ、1ページに記載された文字の平均は385文字でした。