仕事のデキる人は何をしているか。AI分析をしたクロスリバー代表の越川慎司さんは「エース社員は、事象よりも人に興味を持つことが多く、それが聞く姿勢に現れる。相手に『しっかり聴いている』という熱意を伝えるために、大きく深くうなずく」という――。

※本稿は、越川慎司『17万人をAI分析してわかった 最強チームの条件を1冊にまとめてみた』(大和書房)の一部を再編集したものです。

1on1で部下と話し合っている上司
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

できる社員が実践する「ほめ方」ベスト3

エース社員が実践していることは、いたってシンプルです。

小さな行動実験をただ繰り返す。

これだけです。

行動の選択肢を増やすために、行動量を増やして失敗確率を下げる戦法を取っていました。

いきなり大成功を目指すのではなく、小さな失敗を積極的に積み重ね、その先に成功をつかんでいたのです。

こうしたローリスク・ローリターン戦術で得た成功の積み重ねが他のメンバーと差を付けていたのです。

自走する組織を作るために優秀なリーダーが言ったことは、行動実験。彼らは、口をそろえてこう言います。

「意識なんて変わりませんよ! 私も部下も。意識の前に行動を変えるのです」

行動を変え、振り返って「意外と良かった」となれば、それこそが意識が変わった状態です。

1on1などで部下と話し合い、「ちょっと頑張れば達成できる難易度の課題」を提供する。いきなりハードルが高いとやらないけども、「ちょっと頑張ればできる」ことを伝えて合意し、ちょっと行動させる。

「失敗しても責めない」
「ただし失敗しても反省せずに次の行動に活かしてなかったらしっかりと叱って指導する」

優秀なリーダーはこのように考えているのです。

失敗しても、そこで得た学びを次につなげれば絶対に責めない。そんな小さな行動実験をやって「意外と良かった」というものを生み出していると言っていました。

会社で同僚を巻き込んで成果を残し、社外でも人脈を拡げスキルアップしていくには、説明する能力だけではなく、人を魅了するコミュニケーション力があると便利です。

「ほめる」というのは、まさに相手を魅了するコミュニケーションの1つ。一方で、ほめ方を間違えると、逆に関係を悪くしてしまいます。

できる社員は多くの人を巻き込むために、強引に言うことを聞かせようとするのではなく、相手を心地よくしながら“Win-Winの関係”を築こうとします。

できる社員が実践していたのが、ほめることです。

彼らが実際にどのように相手をほめていたかをAIで分析したところ、3つの特徴が浮かび上がりました。1つずつ解説していきます。